こんにちは。 今日は前回に続いて、第二次世界大戦後のアメリカ経済が自由競争の市場経済ではなく、カネとコネで動く利権経済に変わってしまったことと、その後4分の3世紀を経てアメリカ国民に利権経済が続いたことのしわ寄せが回ってきた実情について書きます。

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まず、次のグラフと表の組み合わせをご覧ください。
下のロビイング額トップ20社の表を見ると、4分の1に当たる5社が軍需依存度の大きな企業です。ただ、上の産業別ロビイング投資額から見ると軍需産業は第8位となっていて、意外に小さな金額しか投じていません。
理由の一端は、単一企業としては8位のロビイング投資をしているボーイング社が、業界団体としては軍需ではなく航空運輸産業に属していることです。
もっと大きな要因としては、軍需産業が非常に寡占化の進んだ業界であって、中小零細企業が少額の資金を出し合って業界団体としてロビイングをすることが少ないという産業構造も影響しています。
その点、産業別で最大のロビイング投資をしている医療・健康関連業界は、大手製薬会社が巨額献金をしているだけではなく、さまざまな業界団体や、医師会・看護師会などの職能団体もそれぞれロビイングをしているだけに、総額が大きくなっているのです。
ちなみに、医療・薬品分野は軍需と並んで、政府省庁のような大規模な需要家と市場を通さずに相対取引で売上の多くを稼ぎ出す分野でもあります。