YouTubeの限定公開は「トラップ」に注意。

YouTubeへのアップロードは非公開か限定公開にすると良いと説明した。

限定公開の動画はURLが漏れない限り他の人は見られないが、YouTubeの「リスト」という機能で動画をリストに登録すると、何と恐ろしい事に限定公開の動画を誰でも見られる状況になる(公開されているリストの場合)。知らない人も多いと思うが完全にトラップだ。しかも動画をアップロードする際にリストに登録するか選択肢も出るので余計に危ない。

非公開の動画であっても、Googleのパスワードが流出したら当然見られてしまう。仕事で使うアカウントなら二段階認証はすでに常識だが、まだ導入していない人は即導入した方が良い。

流出はどんなに注意していても起こりうるため、文字起こしが終わったらすぐに動画は削除すべきだろう。

必ず切るべき機能は……。

Glarity Summaryは初期設定で「Chromeで検索をした内容を全てChatGPTで自動的に質問する」という設定になっている。文字起こしだけが目的の拡張機能ではないからだ。

これを知らないでいるとChatGPTの履歴が滅茶苦茶になる。文字起こしだけに使いたい人は拡張機能の設定で切っておく必要がある。

すぐに文字起こし出来ない?

YouTubeに動画をアップロードした直後は文字越こしが表示されず、翌日とか2.3日後にならないと表示されない、という謎のエラーが筆者には発生した。

最初は原因不明だったが、1分の短い動画なら数分後には文字起こしが表示された。要するに長時間の動画はすぐに文字起こし出来ないようだ(動画の長さと文字起こしが表示されるまでの正確な時間は不明)。人力より確実に早くて楽なことは間違いないが、すぐに文字起こしが出来ると思っていると困る可能性もあるので注意が必要だ。

マイクは少し良い物を。

筆者の手持ちの動画では、かなり昔に撮影した音声が悪い動画は上手く文字起こしが出来なかった。これはスピーカーから出た音をビデオカメラで撮影したような、人の耳で聞いても明らかに聞きにくいレベルの動画なのである意味仕方がない。ズームセミナーを録画した程度ならまず問題は無いだろう。

ただ、今後Glarity Summaryをあてにして文字起こしをするならちょっと良いマイクを使うと良い。ウェブカメラに付属しているマイクでも十分だと思うが、文字起こしの精度を少しでも上げて手間を減らしたいのならマイクも重要だ。

筆者の場合はコンデンサマイクという感度の良いマイクを使っている。USB接続なので使い方も難しくはなく、卓上スタンド込みで5000円程度と格安なものだ。歌や演奏のためでなければ高いものを使う必要は無い。

なお、背景に音楽をかけたり雑音のあるカフェでの録画も当然避けた方が良い。

ChatGPTは情報流出が怖い?

ChatGPTによる情報流出が怖い人もいるだろう。機密情報は入力禁止になっている企業もすでにある。

流出リスクがどこまで高いかは現状では不明だが、文字起こしについても流出すると本当に危ないものは使わないのが当然だが、公開する文章の文字越こしならあまり気にしなくても良いだろう。一律禁止とか何でもOKではなく、動画の内容に応じて使い分ければいい。

心配な場合はChatGPTで情報収集のオプトアウト(情報収集を拒否する設定)を申請しておくといい。

やりがちなミスとして、会社で使う場合は個人のChatGPTのアカウントをGlarity Summaryで使うのは絶対に不可だ。拡張機能でログインした後にChatGPTのページに行くと、当然の事ながらログインしている状態のため、アカウント保有者の質問履歴が他の人に丸見えとなってしまう。

音声入力はスマホを使った方が良い?

そんなに高性能なら音声入力に使おうか、という人もいるかもしれないが、それならスマホの音声入力をそのまま使った方が楽だ。

iPhoneもアンドロイドも音声入力は超高性能で、多数の著書やコラムを執筆している経済学者の野口悠紀雄氏は「寝起きにスマホで音声入力をすると、文字通り朝飯前に記事が書ける」という。

スマホの音声入力で文章を書いている人は少ないと思うが、こちらもおそらくビビるレベルで性能が高い。とはいえ、この拡張機能の良いところは「動画から文字起こしが出来る事」なので、そもそも用途が違う。スマホの音声入力とは使い分けた方が良い。

Glarity Summaryの活用方法は「執筆が苦手な人による文字コンテンツの作成」

世の中には書くのが上手い人と喋るのが上手い人がいる。両方とも上手い人は少数派だろう。

筆者はウェブメディア編集長で執筆指導の勉強会もやっているくらいなので、当然書く方が得意だ。仕事としてやっているので人並み以上に出来る自信もある。ただ、しゃべる方はとにかく苦手で人前に立つことも昔は大嫌いだった。

現在はセミナーも仕事としてやっているため苦手と言ってる場合ではなく、数をこなしたこともあり人並みに話せる程度には克服したが、それでも執筆とは到底比べられない低水準だろう。話し方を教えることもまず不可能だ。

その逆に喋るのは得意だけど書くのが苦手な人、そういう人にとってはGlarity Summaryは文章を作るために死ぬほど役に立つ。さらに言えば喋ることが苦手でも、喋っているうちに言いたかった事がやっと出てくる、という事もある。

それならスマホの音声入力でも良んじゃね?という事になりそうだが、音声入力で文章を作るのも案外難しい。少なくとも動画の文字起こしと音声入力による執筆は全く別物だ。後述するインタビューの文字起こしをスマホを使った音声入力でリアルタイムで行うのはまず無理だ。

正しく文字起こしされているか確認しながら喋ることはそれなりに面倒で慣れも必要となる。「スマホの音声入力はキーボード代わり」と言えば、動画の文字起こしと似て非なるモノであることは分かってもらえるだろう。