会社のお花見中の怪我は労災になる?
では冒頭に書いた会社のお花見で怪我した場合は労災になるのでしょうか?
お花見は飲み会なんだから仕事なわけないでしょ(笑)と思われる方もいるでしょう。実は、お花見に参加している時間が業務時間として認められる可能性があります。
お花見が「仕事」になるかどうかは、下記がポイントになります。
・お花見の参加が強制されているかどうか ・飲み会の目的と仕事との関連性(仕事に関する話をしたか) ・参加費用を会社が負担していること 上記がすべての要素ではなく、個別に調査がされ判断されます。
お花見が「仕事」と判断されると、お花見中の病気や怪我は労災の対象となる可能性があります。
また、幹事は仕事として判断されやすいです。怪我をした人が会社から幹事を任されている人だった場合、仕事として認められる可能性が高いようです。
今ではさすがにほとんどないと思いますが、花見の場所を確保するために新入社員が何日も前からシートを敷いて場所取りをする、といったことも昔はありました。このケースでも会社が場所取りを命じたのであれば、命じられた社員にとっては事実上強制参加となり場所取りは仕事になります。
お花見を仕事として判断するのはハードルが高いのが現実ですが「飲み会中の病気や怪我は労災にならない」と勝手に判断せず、状況を整理して会社の人事部の人や労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。
労災保険の補償の種類労災と認定されたら、病気や怪我に応じて労災保険の補償を受けることができます。労災保険の主な補償は、以下の通りです。
労災保険の給付は、業務災害も通勤災害もそれほど内容は変わりません。
●療養(補償)給付 労災による病気や怪我の治療が無料で受けられます。
療養(補償)給付を受ける場合には、健康保険の対象にはなりません。健康保険を使って病院にかかってしまった場合は労災保険に切り替える手続きをしましょう。
給付が受けられるのは、病気が怪我や治るまでです。給付が終わっても障害が残る場合は障害(補償)給付の対象になります。
●休業(補償)給付 労災によって病気や怪我をした労働者が仕事を休むことになり、給与を受けられない時にその間の収入を補償する制度です。
休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%が支給されます。それに加えて給付基礎日額の20%が特別支給金として支給されるので、休業期間中であっても合計80%の収入が補償されます。業務災害の場合は、労災から給付されない1日目から3日目までは会社側が補償する義務があります。
●傷病(補償)年金 労災で病気や怪我を負い、1年6か月経過しても治癒しない場合に傷病等級に応じて支給されます。1年6か月を経過した時点で、休業(補償)給付を受けていて傷病等級に該当する場合は傷病(補償)年金に切り替わります。
●障害(補償)給付 労災で病気や怪我を負い、それが治癒した後も一定の障害が残った場合に等級に応じて支給されます。
●介護(補償)給付 傷病(補償)年金または障害(補償)年金を受給していて、常時介護または随時介護を受けている場合に介護費用の支出が月単位で支給されます。
●遺族(補償)給付 労災で労働者が死亡した時にその遺族に支給されます。
仕事中・通勤中の病気や怪我が労災保険の対象であることが分かったら、労災病院や労災指定病院を受診しましょう。労災指定病院を受診すれば費用の立替が発生せず、手続きも簡単です。
では、労災指定病院以外を受診してしまったら、どうなるのでしょう?
労災は健康保険が適用されないため、治療費は一旦全額負担になりますが、労災申請後返還されます。健康保険を使ってしまうと労災保険への切り替えが煩雑になるため、はじめから労災であることを病院に伝えて治療を受けるようにしましょう。
「軽い怪我だから」「労災申請が面倒だから」と健康保険を使ってしまうこともあるかもしれません。労災保険を使いたくないからと健康保険を使うことは法律違反になります。法律違反にならないためにも労災には労災保険を使いましょう。