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金融不安と中央銀行デジタル通貨(CBDC)

2023年3月、米国の複数の銀行の経営破綻のニュースが世界を駆け巡り、その後、金融不安連鎖が続いている。

その中で、「銀行が破綻しても米連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation ; FDIC)が25万ドルまで預金保護してくれることになってはいる。しかし、短期間に何行も次から次に破綻したらその仕組みはもたず、仕切り直しが必要となるのではないか。」などの危機感が高まっている。実際、FDICの2022年末の基金残高は保険の対象となる預金の1.27%にすぎないとも言われているからだ。

このような状況下、一部の識者の間では「この混乱に乗じ、ショック・ドクトリンとして『金融機関の壮大(グレート)なる仕切り直し(リセット)』が早々に行われるのではないか、といった警戒感が高まっている。

そんな「金融版グレート・リセット」として想定されるのが、中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency ; CBDC。以下、CBDC)とよばれるものだ。これには、私たちの基本的自由を奪いかねないいくつかの深刻な問題が隠されている。

失われる金融のプライバシー

日本銀行のウェブサイトはCBDCをして、