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独りの夜にバーナーの燃焼音が心強い
最後の朝もスパゲッティ
独りの夜にバーナーの燃焼音が心強い
僕の身体は180㎝90㎏。そこそこ大きな体をしている。
それでも知らない町で一人で過ごす夜は心細い。
そんなとき、僕を励ましてくれるのがコンパクトバーナーだ。
小さな体で数分で水をお湯に変える逞しさ、そして何よりその燃焼音が心強い。
暗闇の中で静かに、逞しく鳴る「コー」という音はヒーリングミュージックと言ってもいいほど心を安定させる。
最後の朝もスパゲッティ
夜、妻に連絡して、3日ぶりに息子の声を聞いて就寝。
駅にはコンセントがあることが多いので、本当はダメなんだろうけどスマホを充電させてもらう。
住宅街にある駅なので、遅い時間まで乗降があったが、シュラフを広げその上に座ったら誰もこっちを見ない。
することがないので地図を広げ旅人を気取ってみた。
朝。誰かがドアを開けて行ったのか寒い。おまけに蛍光灯には蛾がたかっている。
駅の入口にあった自動販売機で季節外れの温かいコーヒーを買う。
僕は毎朝コーヒーを飲みたくなる無類のコーヒー好き。
けれど特段こだわりはなく、普通に缶コーヒーも飲む。
最後の朝もスパゲッティだ。
そろそろご飯が食べたいが、この不自由さも旅の醍醐味。
有ることが難しいで、有難いを噛みしめる。
トイレの水は使えないので、自販機で水を買って茹でた。なんだかとても損した気分だ。
食器はウェットシートで拭いて終わり。細かいことを気にしてはいけない。