長時間労働をはじめ、日本ではオーバーワークややりたくないことを無理してやること、つまり「がんばる」ことを肯定する風土が根強い。しかし、筆者はがんばることが必ずしも良い結果につながらないと考えている。むしろマイナスに作用することもある。
筆者にはかつて「がんばらない自分には価値がない」と感じ、長時間労働をしていた時期がある。当時、仕事の生産性は低かった。しかし効率を考えた働き方にシフトしてからは、成果を落とさずに残業ゼロを達成できるようになった。
本稿では、がんばることにどれほど意味が無いか、また分かっていてもついがんばってしまう人がどうすればがんばらず、もっと効率的に働けるのかについて、現役会社員で時短コンサルタントの立場から考えてみたい。
がんばった見返りはたったの2分がんばることがどれほど無意味かについて、まずは起業家デレク・シヴァーズのエピソードを紹介したい。
デレクは普段から、近所にある約40kmの自転車専用道をサイクリングしていた。いつも全力で走っていて、時間を計測すると決まって43分だった。
ある時サイクリングを億劫に感じ、いつもの半分のペースでリラックスして走ってみることにした。必死に自転車を漕ぐいつもと違い、まわりの景色を楽しみながら走る素晴らしい時間を過ごした。
走り終えて時計を見ると、なんとかかった時間は普段と2分しか違わない、45分だった。デレクは次のように語る。
計算すればわかるけど、顔を真っ赤にしてハァハァ息を切らしながらストレスまみれでがんばった93%かそこらが、たった2分の違いしか生み出さなかったんだ。ほぼ無意味だよ。人生で僕はいつもできるだけ多くのことを得ようとするわけだけど-何をしてもできるだけ多くドルを稼ぎたいと思うし、1分1秒も無駄にしたくないと思う-でもそのためにストレスを感じる必要はない。そう考えるようになったんだ。本当だよ(引用:Tools Of Titans Harper Business 2016 )
その後デレクは何事もストレスを感じる前にやめるようになった。ストレスを感じる時はオーバーワークとなっている時か、本当はやりたくないことを無理してやっているサインだと考えるようになったという。