夫婦のみ世帯では共働き率が9割近くに
では、どんな人が買っているのかといえば、リクルートSUUMOリサーチセンターの調査によると、首都圏で新築マンションを買った人の世帯総年収は図表2のオレンジの折れ線グラフにあるように、2021年に1000万円を超え、2022年の平均は1034万円でした。平均年収とは随分かけ離れた数値になっています。
かなりの高額所得者でないと買えないように見えますが、必ずしもそうばかりとは限らないようです。実は、新築マンション購入者では、共働き率がたいへん高いのです。一人だけの年収ではなく、夫婦合算の収入で何とか買っているという人たちが多いのではないでしょうか。国勢調査によると、全国平均の共働き率は57.59%ですが、新築マンション契約者の平均は57.4%とさほど変わりませんが、実は、新築契約者の平均はシングル世帯も含んでいるので、既婚世帯だけに限ると共働き率は72.8%に上昇します。首都圏で新築マンションを買った既婚世帯のうち、7割以上が共働きなのです。しかも、既婚で子どものいない夫婦のみ世帯だけの共働き率をみると87.6%と9割近くに達します。図表3にある通りです。

パワーカップルが高額マンションを買っている
ライフステージ別に、購入価格の違いをみると、首都圏新築マンション契約者全体では5890万円ですが、シングル男性5275万円、シングル女性4915万円に対して、夫婦のみ世帯では5928万円で、子どもあり世帯では6222万円、シニアカップルでは6324万円となっています。夫婦のみ世帯で共働きしている世帯のうち、世帯総年収が1000万円を超える、いわゆるパワーカップルでは購入価格が6991万円に跳ね上がります。夫婦ともに勤務しているので、より都心に近い、利便性の高いマンションを求める傾向が強いため、どうしても購入価格が高くなるのではないでしょうか。
それに対して、共働きしている既婚世帯で、年収が1000万円に満たない世帯では平均5056万円と大きな違いがあります。こちらは、共働きといっても、どちらかはパート勤務などで、比較的年収はさほど多くないため、都心やその周辺ではなく、郊外の新築マンションなどを買う傾向が強いのではないでしょうか。