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  1. 家計の金融資産・負債残高

    前回はG7各国の金融機関について、金融資産・負債残高をご紹介しました。

    基本的には各国とも金融資産と負債が同程度で拡大していて、正味の純金融資産はほぼゼロで推移しています。

    日本は金融資産のうち貸出(他者の借入)が長期にわたって目減りしていた状況も確認できました。

    これまで各国、各経済主体の金融資産・負債残高の推移について、各国通貨でのデータを眺めてきました。

    ただ、その水準についてはいまいち掴めないと思いますので、今回からは水準を合わせて各国比較をしてみたいと思います。

    ある経済指標についての国際比較をする場合は、何かしら単位を合わせる必要があります。

    主要な比較方法として1人あたりのドル換算値と、対GDP比の方法がありますので、今回はこれらの数値で比較してみましょう。

    日本経済のピークだった1997年と、直近の2021年のデータを見比べてその変化にも着目してみたいと思います。

    今回はまずは家計についてです。

    図1 金融資産・負債残高 1人あたり 家計 2021年OECD統計データ より

    図1が2021年の家計の金融資産・負債残高 人口1人あたりドル換算値の比較です。

    金融資産をプラス側、負債をマイナス側で表現しています。

    正味の純金融資産(金融資産・負債差額)が黒い丸です。

    金融資産も純金融資産も、アメリカが圧倒的に多く他国を大きく引き離しています。

    日本はG7で3番目に家計の純金融資産が多い国です。

    金融資産の構成を見ると、日本は現金・預金が多く、他国の倍程度の水準となります。

    一方、株式等はG7中で最も少ない水準です。

    アメリカ、カナダは株式の水準が極めて高いですね。

    イギリスは年金・保険の水準が高いのが特徴的です。

    日本はG7の中では1人あたりGDPや給与水準がイタリアに次いで低い国ですが、純金融資産では3番目に多い国ですね。

    何度か触れてきましたが、日本の金融資産の多くは高齢層に偏っていて、高齢者が現役世代から蓄積した金融資産が多い事が大きいようです。