女性就業者が多い職種カテゴリの育休の言及が、全体を牽引

職種カテゴリを女性の従業員の割合を大小で区分すると、育休に言及している求人は、女性就業者の多い職種カテゴリに多く、それらの職種で言及割合が伸びています。一方、女性の就業者の割合が小さい職種カテゴリでは、言及の割合は変わっていません。

職種を女性従業員割合の大小別に分けた場合の、2019年1月から2023年1月の正社員求人・正社員以外の求人の育休言及割合。データは月次の割合を3ヶ月移動平均したもの。

女性就業者の多い職種「保育」「美容・健康」などで高い育休言及割合

育休の言及割合とその伸び率が高い職種カテゴリは、保育、美容・健康、薬剤、看護、保険など女性の就業者の多い職種カテゴリであることが確認されます。

情報システムなど一部男性の就業者の多い職種カテゴリにおいても、言及率の伸びが確認されますが、警備、建設、運送、製造など、男性の就業者の多い職種カテゴリの多くでは、育休の言及率が伸びていません。

つまり、制度改正によって女性就業者を一定数有し、育休制度及び制度の労働者ニーズに対する理解がより進みやすい職種で言及率を伸ばしましたが、男性就業者の多い職種で育休を言及することには未だ至っていないようです。

(出所:令和元年版働く女性の実情)

育休言及率の大きい上位10職種カテゴリ、及び言及の伸び率の大きい上位10職種カテゴリを、正社員と正社員以外に分けて示したもの。2022年10月-2023年1月と2021年10月-2022年1月の期間で評価。

男性の育休取得率の向上にも課題あり

男性の育休取得率は近年急上昇傾向にあるものの、家事・育児負担が女性に偏っている状態は依然として課題です。そうした中で、政府は男性の育休取得を促す段階的な育児休業法改正を行ってきました。

その結果、求人内の育児への言及率は全体として増えているものの、男性の従業員の多い職種の多くでは、女性の従業員の多い職種と比べて、求人内の育休言及率が未だに一般的ではないことが確認されました。

2023年4月から、従業員が1,000人を超える企業で男性労働者の育児休業取得率の公表が義務化されるにともなって、求人においても育休に関する企業の意思がさらに現れてくることが期待されます。

(出所:令和3年度雇用均等基本調査 結果概要、令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約)