育休に言及している求人は増加傾向

育休への言及は、求人情報において一般的になってきています。

●正社員(無期)求人では、言及割合が2021年まで伸び、その後は安定的に推移し2023年1月は34.8%でした。正社員以外(有期)求人では、言及割合が2021年から伸び2023年1月は10.2%でした。
●重要なことは、最近の正社員以外(有期)求人で育休言及率が上昇傾向であることです。これは、育児休業法改正項目の中で「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」(2022年4月1日施行)が一部影響している可能性があります。

上記は、2019年1月から2023年1月までの正社員求人・正社員以外求人の中で、育休への言及があった割合です。データは月次の割合を3ヶ月移動平均したものです。

Indeedの求人データのうち、雇用形態が明確に記載されていないものについては割愛しています。

地域別での傾向

育児休業の改正内容には、2022年4月施行のものと2022年10月施行のものがあります。男性の育児休業取得の促進のために改正した内容が施行される時期には、2022年10月からのものもあるため、2022年10月から2023年1月を改正後の期間として、前年同月期間との比較を行います。

求人情報における育休の言及率は都道府県によって異なるものの、全般的には改正後の期間(2022年10月-2023年1月)の方が、前年改正前(2021年10月-2022年1月)よりも増加傾向です。正社員の求人では全都道府県のうち過半数で、正社員以外の求人では全都道府県のうち6割で言及率が増加しました。

正社員の求人では、2021年の時点で既に言及されることが増えていたため、一見すると言及率の増加程度は高くありません。しかし、実際に前年の2020年10月-2021年1月と比較すると、7割超の都道府県で言及率が増えています。

正社員求人も正社員以外の求人でも、育休に言及している割合が高かったのは沖縄県でした。沖縄県は、育休制度が十分周知され男性も育休取得率が高く(例:積水ハウス「男性育休白書2022」)、企業も育休に言及するという好循環が生まれています。

また非正規雇用の割合は沖縄県が最も高く、その実態に合わせて正社員以外の求人でも育休が言及されることが多いと考えられます。

(出所:平成 29 年就業構造基本調査)

東京都の正社員求人の育休言及割合は39%と、都道府県の中で3番目に大きい数値でした。ただし正社員以外の求人の育休言及割合は9%であり、正社員求人での言及との差が都道府県の中で最も大きくなっています。

都道府県別の、2021年10月-2022年1月と2022年10月-2023年1月の期間における正社員(無期)と正社員以外(有期)求人の育休言及割合。青は正社員(無期)、赤は正社員以外(有期)。

正社員(無期)2022年10月-2023年1月で言及割合が大きい都道府県順に記載。