コメントを見ていると、保守派の神様扱いも困るが、アンチ昭和天皇のもの知らずにも驚く。

平成の両陛下の丁寧な心遣いと抜群の行動力は、劇的でないにせよ、アジアを中心に皇室の評判を括弧たるものにした。とくに、中国訪問は、そうだった。それに対して保守派は、政治的に利用されたと批判する。

このあたりは微妙なところで、皇室に対して中国がアンチであると困るし、一方で、政府の立場を超えた謝罪などするのは不適切なので、訪中は昭和天皇のときはできなかったのだが、天安門事件直後ということで中国がお言葉の内容についてあまり注文つけずに歓迎してくれそうだったから訪中に踏み切ったのである。

皇室がアジア、ことに中国から「反省しない日本」の象徴にされるのは絶対に避けたいからハト派的印象は不可欠だが、それが目立ちすぎると政府の立場は犠牲になるし、国益に合致しなくなる。さらに、うっかりすると皇室自身にとっても昭和天皇を否定することにもつながりかねない。その微妙なバランスの元で皇室外交は展開されているのである。

歴代の天皇家の方々 Wikipedia・宮内庁HPより