お金を捨てたら犯罪になるのか

お金を捨てたら、犯罪になってしまうのだろうか。犯罪が成立するためには「故意」、すなわちわざと行うことが原則として必要だ。つまり、うっかり捨ててしまった場合は故意ではないので、犯罪になることはない。

では、何らかの理由で故意にお金を捨てた場合はどうなるのだろうか。結論からいえば、故意にお金を捨てたとしても、それ自体が犯罪になることはない。ただし、貨幣(硬貨)を損傷させた場合は貨幣損傷等取締法という法律に違反し、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられる可能性がある。お金を故意に捨てることなど考えたこともない人が大半だろうが、硬貨を傷つけたり溶かしたりして捨てた場合は犯罪になり得ることに注意してほしい。

捨てられているお金を拾ったら犯罪になるのか

ゴミ捨て場などで大量のお金が入っている袋などを偶然発見した場合、持ち去っても問題ないのだろうか。誤って捨てられてしまったお金は、「遺失物」として取り扱われる。遺失物をゴミ捨て場などから故意に持ち去ると、「遺失物横領罪」として1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処される可能性がある。

「持ち去ってもバレない」と思うかもしれない。しかし、後で持ち主が現れて、持ち去ったことが監視カメラの映像などで判明することもあるので、十分気を付けてほしい。捨てられたお金ではないが、ATMに置き忘れたお札を持ち去った場合も遺失物横領罪に問われる可能性がある。誤って捨てられたものや置き忘れたものを持ち去ると、後で罪に問われるおそれがあるので危険だ。

お金の持ち主であると嘘をついて名乗り出たら犯罪になるのか

過去にゴミ捨て場からお金が発見されたニュースを見て、自分が持ち主ではないかという人が何人も名乗り出たことがあった。後で持ち主ではないことがわかった場合、名乗り出た人は罪に問われるのだろうか。先ほども述べたとおり、嘘ではなく本当にそう思って名乗り出たのであれば、「故意」ではないため犯罪にはならない。

では、持ち主であると嘘をついて名乗り出た場合は犯罪になってしまうのだろうか。この場合、遺失物を保管している警察官からお金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われる可能性がある。持ち主をだましたわけではなくても詐欺罪が成立する可能性があるため、注意してほしい。

まとめ

お金を捨てることは原則として犯罪にならないが、捨てられたお金を拾う際には犯罪にならないよう注意すべきだ。ゴミ捨て場などでお金を拾ったら、バレないだろうと安易に考えず、すみやかに警察署に届け出るのが賢明だ。

文・幸谷泰造
弁護士。東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻、成蹊大学法科大学院卒業。ソニー(株)の知的財産部で国内外の特許関連業務を担当。その後、弁護士として特許訴訟や無効審判等の係争業務をはじめ、技術系企業の契約関連業務、知的財産デューディリジェンス、知的財産コンサルティングなど、知的財産やIT関連法務に数多く従事。

【関連記事】
サラリーマンができる9つの節税対策 医療費控除、住宅ローン控除、扶養控除……
退職金の相場は?会社員は平均いくらもらえるのか
後悔必至...株価「爆上げ」銘柄3選コロナが追い風で15倍に...!?
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング|手数料やツールを徹底比較
1万円以下で買える!米国株(アメリカ株)おすすめの高配当利回りランキングTOP10!