こんにちは。
アメリカ経済の中で、10年代ごとの企業利益の増減率には機械的とも言えるほどの法則性があります。その法則性に当てはめてアメリカ経済の今後6~7年間を予測すると、うまく行っても長期不況はまぬかれず、下手をすると暴力革命に発展する可能性も考えられます。
なぜそこまで暗い展望を描いているのか、順を追ってご説明しましょう。

robertsrob/iStock
次のグラフをご覧ください。
1900年代の10年間と、1940~80年代の半世紀間を通じて、企業利益の10年累計成長率は40%前後までの増益か、若干の減益という比較的穏やかな変化にとどまっていました。
しかし、1920年代、1990年代、2010年代には10年間で少なくとも約50%、高いときには約100%の増益を達成しました。逆に1910年代、1930年代、2000年代には10年間の累計で2ケタの減益というかなり大きなマイナスを記録しています。
それぞれの折れ線がどの年代を示すか一覧にした左上の凡例を見ていただくと、大増益・大減益は時期的にまとまっていることがわかります。しかも、決して大増益も大減益も続けて2度起きるわけではなく、互い違いに起きているのです。
どうやら、アメリカの企業は大減益の後には大増益、そのまた後には大減益というパターンをくり返しているようです。いったいなぜでしょうか。
すなおに考えると、国民経済全体の成長性が低下したために企業利益が不振になり、次の10年代はその不振を挽回するためにGDP成長率が上がり、国民全体も豊かになり、企業利益も拡大するという、いわゆる「危機バネ」が働いているような気がします。
しかし、実際には1930年代大不況でも、10年間に2度、ハイテクバブルとサブプライムローンバブルが崩壊した2000年代にもGDP成長率は低下しましたが、企業が大増益をやってのけた1920年代、1990年代、2010年代にGDP成長率が急上昇した形跡はありません。
上段の対数目盛りで示した実質1人当たりGDPの実額を見ても、下段の実質1人当たりGDP成長率を見ても、国民経済全体としての成長率は前の10年代とほぼ同じか、むしろ下がり気味なのです。
この点は、1930年代以降でもっとも深刻に経済活動が萎縮した2007~09年の国際金融危機を経験した直後の2010年代に焦点を当てると、もっとはっきりわかります。
このグラフでは10年移動平均で2016年の実績までしか収録していないため、2007~09年の深刻な落ちこみの影響から完全に抜け出てはいないという事情は勘案すべきでしょう。
それにしても、実質GDP全体も、実質1人当たりGDPも、2010年代初めにやや回復の気配を見せただけでその後すぐへたり込んでしまい、2010年代半ばは第二次世界大戦後でもっとも低い成長率を記録した時期となってしまいました。