■ 「女性研究者への支援」部門は10名が受賞

続いての「女性研究者への支援」部門は、育児のために研究を中断している女性研究者および、育児を行いながら研究を続けている女性研究者が、研究環境や生活環境を維持・継続するために、助成金1年間100万円を上限として、2年間支給するという支援。「スミセイ女性研究者奨励賞」を、以下の10名が受賞しました。

・有間梨絵さん:東京大学大学院 教育学研究科
・大形綾さん:京都外国語大学 非常勤講師
・小川絵美子さん:東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所
・鈴木和歌奈さん:日本学術振興会 RRA 海外特別研究員 オランダ・アムステルダム大学
・ターン有加里ジェシカさん:東京大学大学院 人文社会系研究科
・中田明香さん:東京学芸大学大学院 連合学校教育学研究科
・畑山直子さん:特定非営利活動法人サーベイ 研究員
・范艶芬さん:京都大学大学院 文学研究科
・堀内多恵さん:高千穂大学 人間科学部 兼任講師
・ルボフスキ伊藤綾さん:スイス・ジュネーブ大学 文学部東アジア研究科日本学科

子育てを取り巻く活動を支援 「未来を強くする子育てプロジェクト」が表彰式をオンライン開催
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

受賞者を代表し、「非市場領域における仕事分担の理想と現実に関する実証研究」をテーマにした、ターン有加里ジェシカさんが登壇。

「自分が実際に妊娠をしてそれから今に至るまで、女性ならではの制約を多々痛感してまいりました。特にショックだったのが社会的制約です。ささいな出来事の積み重ねがつらくて、母親になったのに研究も頑張りたいと思う自分がおかしいんじゃないかと、つらくて涙が出ることもありました」と、出産後も研究を続けることに対し、さまざまな葛藤があった胸中を吐露。

「しかし、このたび賞をいただけたこと、またそもそもこの賞が16年前から続いているということが、母親だからといって研究を諦めなくていいのだと背中を押してくれたように感じています」と、女性研究者への支援活動の存在に、大いに勇気づけられたようでした。

これについて、選考委員の大日向雅美さん(恵泉女学園大学学長)は、「女性が子育てをしながら仕事、研究をするという大変なテーマに加えてこのコロナ禍。この3年余りどんなに大変でいらっしゃったか、胸傷む思いで選考に当たらせていただきました」と、選考の難しさがあったことを告白。

「でもそれは私の取り越し苦労で、むしろ皆様は厳しいピンチを乗り越えるお力を発揮してくださった。ピンチをチャンスと考え、しなやかに乗り越える力に感銘を覚えました。本当に私自身励まされる思いで、選考に当たる幸せをかみしめた今回の回でございました」と、母親であり、女性である受賞者たちのパワーに心を打たれた様子でした。

■ 「つなげようというような実践がとても多かった」選考委員長の汐見稔幸さんが総評

表彰式の最後には、選考委員長の汐見稔幸さん(東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長)が総評。

子育て支援活動部門については、「時代時代によって少しずつテーマが変わってくる。でもこういう部門にもっと社会的な支援活動があればいいなと思っていたところにどんどん手を挙げてやっておられる方々が応募してこられる。そのことをずっと繰り返し体験してまいりました」と、活動の行き届きぶりを評価。

また、「今年、特に受賞された団体の活動を見ていますと、つなげようというような実践がとても多かったような気が致します」と、地域に根差したコミュニティ構築がポイントとなった様子。各団体ごとの強い思いがはっきりと伝わったようでした。

女性研究者への支援部門については、「男と女を対立させるというのではなくて、女性の研究を支えながら男性が生活していく、つなげていく、という方向に少しずつ視点が移ってきているということを強く感じました」と、女性個人だけでなく周囲の男性の意識の変化にも着目。

近年は男性の育児参加・理解にも焦点があてられる機会が増えています。出産後の女性が活躍するためには、こうした支援活動のほか、夫や職場の同僚・上司をはじめとする、男性側からのサポートも重要であると言えそうです。

子育てを取り巻く活動を支援 「未来を強くする子育てプロジェクト」が表彰式をオンライン開催
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

取材協力:住友生命保険相互会社

(山口弘剛)

提供元・おたくま経済新聞

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