超高齢社会の今、「老後破産」や「老後の貧困」といった言葉を耳にする機会が増えた。厚生労働省の「2021年国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の50.4%が「生活が苦しい」と感じているそうだ。背景には、長生きすることで貯蓄が底をつく、収支のバランスが崩れる、といった要因がある。高齢者世帯にとって、額面で年間数百万円、介護保険適用後の自己負担額にして年間数十万円にも及ぶ介護にかかる費用も無視できない出費だ。そこで、介護費用を安く抑える3つの方法に着目し、「払えない」を防ぐ術をまとめた。

介護費用を安く抑える方法1:利用施設を見直す

介護費用を安く抑える有効な手段として、利用施設を見直す方法が挙げられる。

【入居型施設】の場合

入居型の介護施設の場合、以下の方法で費用の削減が可能だ。

・個室から相部屋に移る
・ユニット型から従来型の施設に移る
・都心部の施設から地方の施設に移る
・民間の施設から公的な施設に移る

介護施設の費用は、一般的に個室よりも相部屋のほうが料金設定は安い。同じ施設内で個室から大部屋に移る、または大部屋がある施設に移るなどが有効な手段だ。フロアの入居人数が限られたユニット型よりも、ワンフロアをみんなで使う従来型の介護施設のほうが安いケースもある。

人件費が高い都心部から人件費が比較的低い地方の施設へ移る 、民間の介護施設から公的な介護施設に移る、といった手段も1つ。民間の介護付有料老人ホームなどを利用している場合は、公的な介護老人保健施設や特別養護老人ホームに入居すると費用を抑えられる。

【通所型施設】の場合

通所型の介護施設の場合、以下の方法で費用の削減が可能だ。

・デイケアよりデイサービスを利用する
・利用時間が短くなるように調整する

リハビリテーションを受けられるデイケアよりも、介護サービスをメインとしたデイサービスのほうが一般的に費用面の負担が軽い。利用時間を短く調整して費用を抑える方法もおすすめだ。

【介護報酬単位のチェック】が介護費用を抑えるポイント

介護施設利用における費用でポイントとなるのが介護報酬の単位だ。基本的に1単位10円で計算でき、地域や事業所規模、定員、介護サービスの内容によって加算がある。

少しでも介護費用を安くしたい場合は、介護報酬単位や加算をチェックしてより単位が低い施設を選ぶことがコツだ。

介護費用を安く抑える方法2:在宅介護を導入する

介護費用を安く抑えるために在宅介護を導入する手段もある。施設に入居するケースと比較して居住費がかからない、通所型や訪問型などから必要なサービスのみを利用して介護費用の負担を軽減しやすい、といった点がメリットだ。

生命保険文化センターの2021年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、入居型施設を利用した場合の介護費用が月額平均12万2,000円かかるのに対し、在宅介護では月額平均4万8,000円で済む。

環境がそろうようであれば、在宅介護を選択するのも1つだろう。

介護費用を安く抑える方法3:公的な制度を利用する

公的な制度を利用して介護費用を削減するのも有効な方法だ。例えば、このような制度がある。

・特定入所者介護サービス費(介護保険負担限度額認定制度)
・高額介護サービス費支給制度
・生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度

特定入所者介護サービス費(介護保険負担限度額認定制度)は、所得が少ないほうが公的な介護保険施設において居住費や食費の減免を受けられる制度だ。

高額介護サービス費支給制度では、自己負担額の上限を超えて介護費用を払った場合に市区町村に申請することで上限額を超えた金額分の支給を受けられる。

生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度は、「生計を立てることが困難」と認められたケースである。通常1割負担の介護保険サービス利用料金から1/4を軽減できる制度だ。

介護施設の見直しや制度をうまく利用してみよう

介護施設によってかかる金額には幅があり、利用先や利用方法の見直しによって介護費用を抑えられるケースがある。公的な介護施設は人気が高く入居待ちとなることも多いが、検討してみる価値はあるだろう。そのほか、在宅介護に切り替えたり、公的な制度をうまく利用したりすると介護による費用負担を軽減できる。家庭に合った方法を取り入れてみてはいかがだろうか。

文・佐々木美紀

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