「ホテル暮らし」と聞けば、ひと昔前なら著名人などの高所得者だけが叶えられるライフスタイルというイメージを持つ人が多かっただろう。しかし、サブスクリプション(定額制)のサービスなどが普及した昨今は、一般的なサラリーマンも賃貸感覚で非日常の暮らしを味わえる。その実態を探りながら、メリットとデメリットを考察してみる。
「ホテル暮らし」とは?
「ホテル暮らし」とは文字通り、自分の家に住む感覚でホテルに長期滞在することだ。そうした生活を送る人は昔から存在したが、近年は新型コロナウイルスの感染拡大や、働き方改革を契機としたリモートワークやワーケーションの普及で注目されるようになっている。
ホテル側もコロナ禍で落ち込んだ客室稼働率を回復させたい狙いもあり、長期の連泊専用プランを用意するケースが増えた。サブスクサービスや選ぶホテル・部屋によっては、1カ月8万円程度で都内の駅近ホテル暮らしが可能なケースもある。「こんなに安く住めるの!?」「賃貸よりお得!」だと感じる人も多いはずだ。
賃貸とホテルの比較
ホテル暮らしをする中で、賃貸ではかからない費用を挙げるとすれば、毎日の外食代とコインランドリー代くらいのものだ。ホテル暮らしに水道・光熱費は不要で、さまざまな調度品や家電をそろえる必要もない。
仕事が忙しくて食事は外食ばかり、洗濯はコインランドリーで一気に済ませている人はホテル暮らしに向いているかもしれない。
ホテル暮らしのメリット・デメリット
メリット
ホテル暮らしのメリットは、前述した点だけではない。気に入ったホテルと空き室さえあればどこでも好きな場所で生活でき、何度「引っ越し」をしても敷金・礼金は一切かからない。ベッドメイキングやアメニティー類の補充、客室の清掃などはホテルのサービスを毎日受けられるし、Wi-Fi環境が整っていればスマートフォンなどの通信費を節約できる。
デメリット
ホテル暮らしの最大の出費は宿泊費で、利用するホテルや客室のグレードによっては高額になる場合もある。所有できる持ち物が、賃貸に比べてかなり限られる点にも注意したい。また、市区町村の判断によっては正式な住所として認められないこともあり、郵便物や宅配物を預かってもらえないホテルではコンビニなどの受け取り先を考えておく必要も出てくる。
短期間でも味わう価値がある
何年間もホテル暮らしを続けるとなるとハードルは高いかもしれないが、自分の好みに合ったホテルのサブスクサービスなどを利用して短期間でも快適な暮らしを味わってみる価値は十分あるだろう。リモートワークの手を休めたときに窓からの景色を眺めるだけでも、最高の気分転換になるはずだ。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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