議員報酬が23区で渋谷区と大田区に次ぐ3位であることは前述した通りだが、人口規模に比べて議員の報酬年額が高い自治体の分かりやすい事例と言えるのではないか。

図10:人口との比較で議員報酬年額が低い自治体トップ50(人口順位-報酬年額順)出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

一方で逆に、自治体規模に対して議員報酬年額が他の自治体との比較で低めの自治体を、人口規模の順位の方が議員の報酬年額順で並べた順位の方が小さいほどと位置づけて調べてもみた。

図11:人口との比較で議員報酬年額が低い自治体トップ10(人口順位-報酬年額順)出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

この人口との比較で議員報酬年額が低いと思われる自治体を調べるための「人口順位-報酬年額順」が最も小さかったのは、議員報酬年額480万円の姶良市(鹿児島県)だった。

姶良市は、人口は7万8千人程で全国358位と、今回の調査対象815市区の中でも半部よりもかなり上位の人口規模にも関わらず、議員報酬年額は全国748位と815市区の中でもかなり低くされており、815市区の平均年額700万円と比較しても非常に低い。

次いで2位が花巻市(岩手県)、こちらも人口は9万3千人程で301位であるのに対して、 報酬年額は539万円で660位。3位が奥州市(岩手県)で人口11万3千人程で252位に対して、報酬年額は567万円で589位と、どちら平均年額より低かった。

こちらのランキングでは、2位から4位までに岩手県の自治体が並び、5位から7位までに新潟県の自治体が並ぶなど、地域性もあるように感じた。

一方で、関西の自治体は比較的議員報酬が高いという形で紹介してきたが、9位に木津川市(京都府) 、10位に長浜市(滋賀県)が入るなど、関西の自治体の中にも、むしろ人口規模と比較して議員の報酬年額が低くされている自治体もあることが分かった。

図12:大阪府内自治体の人口との比較で議員報酬年額が高い自治体(人口順位-報酬年額順)出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

ここであらためて、議員報酬などで「西高東低」などと言われその象徴のように挙げられる大阪府内自治体は本当に高い傾向にあるのか、大阪府内の自治体だけピックアップしてランキングを作成してみた。

先程と同様、自治体を人口規模の順位の方が議員の報酬年額順で並べた順位の方が大きいほど、自治体規模に対して議員報酬年額が他の自治体との比較で高めの自治体と位置づけて調べてみた。

すると今回調査した33の大阪府内の市の中で、29もの自治体が人口の順位よりも、報酬年額の順位の方が上の、いわゆる「報酬年額が人口規模と比較して高めの自治体」であることが分かった。

中でも「人口順位-報酬年額順」が最も大きかったのは、議員報酬年額916万円の四條畷市(大阪府)だった。

次いで、895万円の高石市(大阪府)、781万円の阪南市(大阪府)と並ぶ。

逆に今回、「人口順位-報酬年額順」がマイナスになった「報酬年額が人口規模と比較して低めの自治体」と位置づけられる自治体も4市あった。

1つは先述した大阪市だが、「人口順位-報酬年額順」が大阪府内で最も小さかったのは、報酬年額が942万円の八尾市(大阪府)。

次いで、1,035万円の豊中市(大阪府)、1,051万円の東大阪市(大阪府)と中核市が並んだ。

図13:千葉県内自治体の人口との比較で議員報酬年額が高い自治体(人口順位-報酬年額順)出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

皆さんにも地元の議員について考えてもらうため、参考までに、大阪府内自治体と同じことを筆者、高橋亮平の住む千葉県内自治体でもやってみた。

大阪と同様、自治体を人口規模の順位の方が議員の報酬年額順で並べた順位の方が大きいほど、自治体規模に対して議員報酬年額が他の自治体との比較で高めの自治体と位置づけて調べた。

「人口順位-報酬年額順」が最も大きかったのは、議員報酬年額734万円の富津市(千葉県)だった。

次いで、929万円の鎌ケ谷市(千葉県)、753万円の君津市(千葉県)と並ぶ。

千葉県の場合は、大阪と逆で、今回、「人口順位-報酬年額順」がプラスのいわゆる「報酬年額が人口規模と比較して高めの自治体」は、37自治体中12自治体しかない。

ちなみに「人口順位-報酬年額順」が千葉県内で最も小さかったのは、報酬年額が512万円の白井市(千葉県)。

次いで、505万円の富里市(千葉県)、496万円の大網白里市(千葉県)となった。

今回の記事はどうだっただろうか。

あらためて、「地方議員ってこんなに報酬をもらっているのか」と思われた方もいるかも知れない。

ただ、こうした記事を書くと、「議員の報酬なんて少なければ少ないほどいいので下げろ」という論調になっていくことがあるが、筆者はそうは思わない。

民主主義とはコストがかかるもので、むしろ適正なコストはかけてでも市民の意見や思いが反映した地方政治が創られていくべきだと思う。

ただ一方で、現状の地方議員を見ると、これだけの額の報酬に見合う仕事をしているのだろうか?と疑問を感じる議員が圧倒的に多い。

ぜひ、読者の皆さんには、こうした視点から、次の4年間を報酬に見合った仕事ができる議員を選んでもらう4年に1度の限られたチャンスを生かしてもらいたいと思う。