中核市とは、政令市同様、都道府県の事務権限の一部を移譲する日本の大都市制度の一つであり、現在、法定人口が20万人以上となっている。

政令市に次いで人口規模の多い自治体の多くがこの中核市に並ぶわけだが、今回の地方議員の報酬年額についても、16位以降に一気に並んだ。

この中核市で最も報酬年額が高かったのは、16位 西宮市(兵庫県)の1,191万円だった。

次いで、2位が全体順位17位 姫路市(兵庫県)の1,188万円、3位が全体18位 金沢市(石川県)の1,168万円と並んだ。

逆に中核市の報酬年額ワースト3は、県庁所在地のワースト3で紹介した209位 松江市(島根県)の786万円と201位 鳥取市(鳥取県)の801万円、それに178位 松本市(長野県)の831万円となった。

図5: 23区の議員報酬年額ランキングトップ10とワースト3出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

報酬年額のトップ25の中で、中核市の次辺りから多くランクインしているのが特別区である東京23区である。

23区で最も報酬年額が高かったのは、34位 渋谷区(東京都)の1,092万円だった。

2位が、全体順位35位 大田区(東京都)の1,092万円、次いで3位が37位 千代田区の1,082万円と続く。

23区の特徴は、これまで伝えていたような人口規模の大きな自治体では必ずしもないことがあげられる。報酬年額が23区で最も高く、全体34位の渋谷区も人口規模では120位、全体37位の千代田区にいたっては人口規模が414位と、今回調査した815自治体のちょうど真ん中の自治体でしかない。

逆に人口が14位で東京都最多の92万人の世田谷区(東京都)の議員の報酬年額は23区内で9位と中位になっている。

ちなみに23区で最も地方議員の報酬年額が低いのは、92位 新宿区(東京都)の993万円で、次いで、90位 文京区(東京都)の995万円、81位 目黒区(東京都)の1,018万円と続く。

図6: 一般市の議員報酬年額ランキングトップ10とワースト3(全国710市中)出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

ここまで、全国815市区の議員の報酬年額を上位から見てきたが、県庁所在地や政令市、中核市、23区ばかりが並び、「結局メジャーな大規模自治体だけじゃねーか・・・」という声が聞こえてきそうである。これ以外のいわゆる「一般市」についても紹介していきたい。

一般市で報酬年額が最も高かったのは、20位 茨木市(大阪府)の1,147万円である。

次いで、ふるさと納税で話題にあがることも多かった22位 泉佐野市(大阪府)の1,139万円、40位 松原市(大阪府)の1,075万円と続く。

冒頭で業界では「西高東低」などと揶揄されるように西の自治体の方が高い傾向があることを紹介したが、一般市のトップ10のうち大阪府内の自治体が8市、トップ15の中でも12市が大阪の自治体となっているのも特徴と言える。

筆者、高橋亮平の住む市川市(千葉県)の議員の報酬年額は、5位の1,047万円。大阪の自治体を除けば全国で最も報酬年額が高い一般市ということになる。

ちなみに一般市でトップ15に入っている大阪以外の自治体は、この市川市と64位(一般市5位)小松市(石川県)の1,042万円、76位(一般市13位)芦屋市(兵庫県)の1,025万円の3市だけだ。

「加賀百万石」で知られる加賀藩の小松市と、関西の高級住宅地として知られる芦屋市と、筆者地元の市川市かぁ・・・などと色々と考えさせられる結果ではあった。

ちなみに今回調査した全国815市区で最も議員の報酬年額が低かったのは、夕張市(北海道)の260万円だった。

夕張市と言えば、自治体で唯一、2007年 財政再生団体に指定された自治体であり、人口も今回の815自治体で2番目に少ない7,000人ということを考えれば、ある意味納得だ。

ワースト2と3が、814位 室戸市(高知県)の387万円、813位 にかほ市(秋田県)ということを考えても夕張市の報酬年額だけが極端に低いことも分かる。

図7:人口規模トップ50の議員報酬年額出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

議員の報酬年額は大枠では人口との相関関係があることが見えてきたと思う。そのため、あらためて人口規模の順に上位50自治体を並べてみた。

大阪府内の市の議員の報酬年額は高い傾向にある先述したが、人口規模では2位の大阪市(大阪府)は、議員報酬では13位 1,282万円とむしろ人口規模との比較では高くない印象を持つ。これもいわゆる「身を切る改革」ということなのだろうか。

人口と比較して報酬年額が低い印象を受けるのは、前述した世田谷区(東京都)も人口では14位でありながら報酬年額は49位 1,067万円、練馬区(東京都)も人口18位の一方、報酬年額は69位 1,037万円など23区でも人口の多い区はむしろ人口比較では高くない印象だ。

人口18位でありながら報酬年額が86位 1,002万円の新潟市なども報酬が低めの自治体と言えるように感じる。

図8:人口との比較で議員報酬年額が高い自治体トップ50(人口順位-報酬年額順)出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

こうしたことから、自治体を人口規模の順位の方が議員の報酬年額順で並べた順位の方が大きいほど、自治体規模に対して議員報酬年額が他の自治体との比較で高めの自治体と位置づけて調べてみた。

図9:人口との比較で議員報酬年額が高い自治体トップ10(人口順位-報酬年額順)出典:自治体公表情報(2021.12.31現在)から筆者作成

この人口との比較で議員報酬年額が高いと思われる自治体を調べるための「人口順位-報酬年額順」が最も大きかったのは、議員報酬年額707万円の有田市(和歌山県)だった。

有田市は、人口は2万7千人程で全国735位と、今回の調査対象815市区の中でもかなり下位の人口規模にも関わらず、議員報酬年額は全国303位と815市区の中で中間よりもかなり高い所にあり、815市区の平均年額700万円よりも高かった。

次いで2位が五條市(奈良県)、こちらも人口は2万9千人程で715位であるのに対して、 報酬年額は702万円で313位、こちらも平均年額より高かった。3位が御所市(奈良県)で人口2万5千人程で757位に対して、報酬年額は655万円で374位と、上位には関西の自治体が続いた。

このランキングを象徴的に表していて読者にもイメージしやすいのは5位の千代田区だろうか。言わずとしれた国会議事堂も含め永田町や霞が関、丸の内や大手町など、「あれもそうなんだと!」という日本の政治経済の中心と言える自治体だが、人口は6万7千人と23区で最も少なく、都内の全ての市区の中でも3番目に少ない千代田区。