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デトロイトはいつから治安が悪い?
デトロイトはヒップホップの原点

デトロイトはいつから治安が悪い?

デトロイトの治安悪化が始まったのは、1967年のアフリカ系アメリカ人によるデトロイトでの暴動がきっかけという見方があります。この暴動により多くの死傷者、とりわけ白人の死者が多かったため白人がデトロイトを脱出する「ホワイト・フライト」が始まりました。

さらに、1970年になると安全性やコストパフォーマンスの面から非常に優れた日本車がアメリカに流入してきたため、アメリカの自動車産業は現在も続く不振状態に陥ります。

治安悪化にどう対処していったのか

当然、このような事態をアメリカは黙って見ていたわけではありません。1970年代に、この治安悪化を打開するために、ダウンタウン周辺の高層ビルを多く建設していきます。しかしこれもうまくいきませんでした。ゴーズトタウン化した地域との差別化が如実に表れる結果となったからです。

1990年に入ってからも、都市再生を図りあらゆる手段に出ますが、結局のところダウンタウンでのみ行われ周囲の廃墟などにはほとんど手付かずであったため、結局現在も治安が悪く、廃墟やゴーズトタウンが多いというわけなのです。

デトロイトはヒップホップの原点

実はデトロイトは、この21世紀のヒップホップの原点ともいえる場所です。アメリカのラッパーでもっとも有名な「エミネム」の原点が、ここデトロイトだからです。

彼の半生を描いた「8mile」にもあるように、彼はここデトロイトで子供のころから悲惨な生活を送りながらもヒップホップに出会い、そしていくつものヒップホップコンテストで優勝することになります。

治安と差別

危険で治安が悪い地域というのは、結果として差別されてきた側の人間が集まってくる傾向にあります。もっとも単純な差別に「人種差別」というものがあり、ここデトロイトに黒人が多く住んでいるのもそういった理由があります。

しかしそれ以外にも「貧困」も差別の対象になり、ここデトロイトでは貧困にあえぐ白人も多く居ます。先述のエミネムがまさにそれです。これは現在でも状況は変わっていません。

治安と文化

ヒップホップのように現状の打破や反体制意識の強い文化は、治安が悪いところで育まれていく傾向にあります。デトロイトに限らずアメリカという国は比較的治安が悪いです。だからこそ、こういった様々な文化や娯楽が発展していったといえます。

現在の治安の象徴

このヒップホップという文化は、現在のデトロイトの治安や危険性を象徴する上では欠かせない文化の一つだといえます。ただ危険だからという理由だけで忌むのではなく彼らが楽しんでいる事を知ることも大切なのです。