1. 家計の金融資産・負債残高:カナダ

    続いてカナダのデータです。

    図6 金融資産・負債残高 家計 カナダOECD統計データ より

    図6がカナダの家計の金融資産・負債残高のグラフです。

    アメリカほど極端ではないですが、近年株式等の増加が大きいですね。現金・預金もそれなりの水準で増加しています。

    負債の増え方が直線的なのも特徴的ですね。

    カナダは家計の負債が増え続けている国という事がここでも確認できます。

    カナダ 家計 対金融資産比 2021年 単位:% 現金・預金: 19.9 株 式 等: 42.3 年金・保険: 33.9 負   債: 27.9

    株式等の割合が42.3%とかなり高い水準です。

    年金・保険は33.9%でフランスやドイツと同程度です。

    負債が27.9%で、主要国の中では最も高い水準になります。

  2. 家計の金融資産・負債残高:イタリア

    最後にイタリアのデータです。

    図7 金融資産・負債残高 家計 イタリアOECD統計データ より

    図7がイタリアの家計の金融資産・負債残高のグラフです。

    他の主要国と比較すると、大きく傾向が異なりますね。

    そもそも純金融資産が2006年を機に減少している時期があります。

    また、全体に占める株式等の割合が大きく、アップダウンしています。そして、他国には見られなかった債務証券の比率が大きかったのが特徴的です。

    企業の状況を見るとこれは企業の社債等ではなく、海外または政府の債務証券のようです。他の主要国には見られない珍しい特徴ですね。

    近年では株式等の割合が大きく、次いで現金・預金となります。

    イタリア 家計 対金融資産比 2021年 単位:% 現金・預金: 31.0 株 式 等: 38.5 年金・保険: 23.1 負   債: 19.1

    2021年の状況としては、現金・預金が31.0%、株式等が38.5%、年金・保険が23.1%です。 年金・保険が低い割合のようです。

    負債が19.1%でやや低めですね。

  3. 家計の金融資産・負債残高の特徴

    今回はG7各国の家計の金融資産・負債残高について眺めてみました。

    家計の純金融資産は、自国通貨ベースで見ればイタリア以外は順調に増え続けています。一方で、各国で保有する金融資産の割合が異なるのが興味深いですね。

    現金・預金の割合が圧倒的に多い日本、株式等が多いアメリカ、カナダ、年金・保険が多いイギリスという特徴があるようです。

    ドイツ、フランスは比較的バランスが取れているような印象です。

    家計はこのように純金融資産がプラスで、なおかつ金融資産が増え続けている主体です。

    経済全体で見れば、その分企業、政府、海外、金融機関が負債を増やしていることになります。

    次回以降は、これら家計以外の主体についても金融資産・負債残高を眺めていきたいと思います。

    皆さんはどのように考えますか?

編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年2月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。