gofotograf/iStock

  1. 家計の金融資産・負債残高:日本

    前回までは、OECD各国の純金融資産(金融資産・負債差額)、資金過不足について眺めてきました。

    経済主体ごとの金融資産・負債の変化について、フロー面とストック面での挙動が、国によって多様性があることがわかりました。

    とりわけ、日本は企業の変化が特徴的です。1998年から負債を減らす挙動が見られ、大きく黒字主体化しています。

    企業がこれだけ黒字主体化しているのは、先進国の中ではオランダ、スペイン、デンマークくらいです。

    今回から、主要国についての経済主体ごとの詳細な変化を見ていきましょう。

    家計、企業、政府、海外、金融機関の順に金融資産・負債残高を眺めていきたいと思います。

    今回は、家計の金融資産・負債残高です。人口1人あたりのドル換算値については下記記事について記事化していますので、是非そちらもご一読ください。

    純金融資産: 「お金持ちの国日本」の実力値 金融 資産: 「過去の資産」が多いだけの日本 負   債: 「借金」を増やさない日本人 現金・預金: 日本人はやっぱり「預金」好き 株 式 等: 日本人の「株式投資」 年金・保険: 気になる日本人の「年金水準」

    上記記事では、ドル換算値でしたので、為替レートの影響を受けた数値での比較でした。

    今回は、各国の自国通貨ベースでの数値を眺めてみたいと思います。各項目の増え方や、構成比などに注目してみましょう。

    まずは、日本の家計からです。

    図1 金融資産・負債残高 家計 日本OECD統計データ より

    図1が日本の家計の金融資産・負債残高です。左が積上グラフ、右が各項目ごとの推移です。金融資産はプラス側、負債はマイナス側としています。

    日本の家計は1990年代時点の現金・預金の水準が極めて高いのが特徴ですね。

    詳細推移をみると、現金・預金は2008年頃から増加傾向ですが、年金・保険は停滞が続いています。

    株式等はアップダウンしつつも、近年増加傾向ですね。負債は横ばいが続いていますが、近年やや増加しつつあるようです。

    日本 家計 対金融資産比 2021年 単位:% 現金・預金: 54.8 株 式 等: 15.3 年金・保険: 26.0 負   債: 19.5

    金融資産の中で現金・預金の占める割合が54.8%です。

    このような日本の家計の傾向に対して、他国はどのような状況でしょうか?