ここしばらくは、米国株一強の時代だった。「巨大IT企業を中心に世界をリードする企業がひしめく米国の株に投資しておけば、資産は増える」といわれてきた。しかし、ここのところ、少し様相が変わってきている。米国株に代わって、新興国株が注目を浴びているのだ。

米国株も下降トレンドに

まず、以下のチャートを見てほしい。この記事を執筆している2月15日時点の、米国の代表的な株価指数である「S&P500」の過去5年間の推移を示したものだ。2022年末までは、完全な右肩上がりであることがわかる。2020年にはコロナ・ショックによって一時的に下落したが、まもなく上昇に転じている。

1.次に爆上げするのはどこの国の株?
(出典:Trading View)

ところが2022年に入ると、上下動はあるが下降トレンドに入ったことが見てとれる。2022年は年初に比べて19.3%も下落し、リーマン・ショックに見舞われた2008年以来の下落幅となった。

他の主要指数である「ダウ平均」「ナスダック総合」も同じ傾向で、2022年は米国株が大打撃を受けた1年だった。

GAFAの急成長も曲がり角

米国株の低迷を象徴するのが、巨大IT企業4社の不振だ。アルファベット(グーグルの親会社)、アップル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン・ドット・コムは「GAFA」と呼ばれ、米国株のけん引役だった。

ところが、2022年10月~12月期の決算では、4社とも最終利益が前年同期を下回った。7~9月期決算では、アップルを除く3社が減益だったが、10~12月期にはアップルまでも約4年ぶりに減益となったのだ。

<GAFAの2022年10〜12月期決算>
社名 最終利益 前年同期比 結果
アルファベット 136億ドル ▲34% 4四半期連続減益
アップル 299億ドル ▲13% 約4年ぶり減収
メタ 46億ドル ▲55% 最終利益半減
アマゾン・ドット・コム 2億ドル ▲98% 最終利益大幅減

4社はいずれもナスダック市場に上場しており、株価はナスダック総合指数に直結する。また、4社ともS&P500の構成銘柄だ。さらに、アップルとマイクロソフトはダウ平均の構成銘柄でもある。

米国株から新興国株に資金が流れるか

米国株に代わって世界中の投資家から注目されているのが、新興国株だ。

新興国は経済成長の期待が大きい

GAFAに代表されるように、米国経済が思わしくないのとは対照的に、大きな経済成長が見込まれているのが新興国だ。1月30日のIMF(国際通貨基金)の発表によると、2023年の経済成長率(実質GDP伸び率)の見通しは、先進国が1.2%であるのに対して、新興・途上国は4.0%と大きな開きがある。

地域別に見ると、アジア新興・途上国が5.3%と抜きん出て高く、サブサハラアフリカが3.8%、中東・中央アジアが3.2%と続いた。一方、米国は1.4%だった。

ドル安トレンドで投資マネーが米国から退避

2022年は急激なドル高となったが、秋頃から一転してドル安トレンドに転じたことも、新興国株に投資マネーが流れる可能性を高めている。

以下のチャートはドル円のものだが、1ドル=150円を記録した10月からはドルが安くなっていることがわかる。ドルが安くなれば、集まっていたマネーが他に逃げることになる。

2.次に爆上げするのはどこの国の株?
(出典:Trading View)

新興国への投資先にはどのようなものがあるか

新興国が投資先として注目されていても、どのような企業があるのか詳しい人は多くはないだろう。そこで、ETFをいくつか紹介しよう。特定の株価指数の動きに連動する運用成績を目指す投資信託の中で、上場されているものがETFだ。

ETFには、以下のような投資信託や個別株にはないメリットがある。そこで、地域を考慮して3つのETFを紹介する。

・手軽に分散投資ができる
・値動きがわかりやすい
・上場しているのでリアルタイムで売買できる

AFK
アフリカに本社を置くか、アフリカからの売上が大半を占める上場企業で構成された指数に連動する。上位3銘柄は、イギリスに本社がある石油・ガス資源会社、ナイジェリアの飲料会社、モロッコの銀行だ。

FM
クウェートやカタール、アラブ首長国連邦といった中東の国々を中心とした企業が構成銘柄に名を連ねている。上位3銘柄は、銀行が2つと携帯電話会社だが、いずれもクウェートの企業だ。

ILF
ブラジル、メキシコ、チリなど、ラテンアメリカの40銘柄で構成される指数に連動する。ブラジルの割合が高く、上位3銘柄はいずれもブラジルの金属・会社、金融会社、石油・ガス資源会社だ。

新興国の動向にも意識を向けよう

世界中の投資家は今、新興国株の盛り上がりに乗り遅れまいと、その動向に目を光らせている。株式投資といえば、なじみのある日本や米国にどうしても意識が向くが、新興国株には大きな魅力がある。視野を広げて、新興国株の状況もチェックしてほしい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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