転職といえば給料が下がる“下方転職”のイメージが強い。だが、実際のところはどうなのか? “転職のプロ”ともいえる転職コンサルタントへのアンケート調査をもとに、40代などミドル層の転職後の年収の実態を紹介しよう。
ミドル層の転職は年収アップにつながる
エン・ジャパン株式会社が、自社で運営するミドル世代向け転職サイト「ミドルの転職」上で、人材紹介サービスの転職コンサルタント232名に「転職後の年収」についてアンケート調査を実施したところ、興味深い回答が得られている。
まず、ミドルの転職における転職後の年収にかんしては、「上がる人のほうが多い」25%、「どちらかと言うと上がる人のほうが多い」59%という結果となった。つまり、84%が上がるということだ。
一方、「どちらかというと下がる人のほうが多い」は16%、「下がる人の方が多い」は0%となっている。転職コンサルタント経由の転職ということを差し引いたとしても、転職により年収が上がる人の方が多いということがわかる。
ミドル層の転職におけるコロナ禍の影響は?
では、ミドル層の転職におけるコロナ禍の影響はどうだろうか? これについては、「新型コロナウイルス感染症流行前と比較して、ミドル層の転職者のうち転職後の年収が上がる人の割合は変化していると感じますか?」という質問をしたところ、4割が増加していると回答した。また、1割が減少していると回答。半数は変わらないと回答している。
回答の正確な内訳は次のとおり。
「増加していると感じる」9%
「どちらかと言うと増加していると感じる」31%
「減少していると感じる」9%
「どちらかと言うと減少していると感じる」0%
「変わらない」50%
このうち、増加傾向を報告した転職コンサルタントからは、人出不足やリモートワーク、円安といった環境変化に伴い、給与を上げないと企業が優秀な人材を採用できない状況が報告されている。
興味深いのは、採用枠を減らした企業において、高いスキルを持つ人が年収アップするケースと、求職者側が足元を見られて年収ダウンするケースの両方があることだ。それぞれ異なる転職コンサルタントの回答ではあるが、ミドル層の転職で年収アップの鍵となるのは、高いスキルを持つか否かにかかっているということはいえそうだ。
年収アップするケースと年収ダウンするケース
より具体的に、ミドル層の転職者が転職後に年収が上がるケースを聞いたところ、上位3つは「採用難易度が高いポジションへの転職」56%、「業績好調な業界への転職」53%、「役職が上がる転職」43%となった。
一方、年収が下がるケースとしては、「大手企業から中小企業への転職」47%、「役職が下がる転職」47%、「ベース給与が下がる異業種への転職」46%が上位3つとなっている。
つまり、景気のいい業界における大企業に、高い役職や採用してもらうのが難しいポジションで迎えられるのが転職での年収アップの秘訣といえる。すべての条件を満たすのは難しくても、着実な年収アップを目指すならいくつかはクリアしたいところだ。
転職後の年収アップの可能性が高いのは「40代前半」
「転職後に年収が上がるミドルの年代」についての質問には、「40代前半」が75%で最多。「35歳後半」73%がそれに続く形となった。35歳~44歳の人材需要が高いと判断できる結果だ。
なお、40代後半では44%が年収アップし、25%が年収ダウンするという結果に。50代になると年収が下がるケースがグッと多くなる。ここから、転職で年収アップを狙うなら40代までというのが基本セオリーだといえそうだ。
また、ミドル層の転職で年収が上がったケースが多い業種については、1位が「IT・インターネット」54%、第2位が「メーカー」38%、3位が「コンサルティング」34%となっている。
一方、職種については1位が「経営・経営企画・事業企画系」46%、2位が「技術系(IT・Web・通信系)」35%、3位が「営業・マーケティング系」34%となっていた。
同調査では業種や職種にかんする結果を、コロナ禍によるDX化の加速により関連する人材の需要が高くなった影響として分析している。
年収アップが期待できるミドル層の特徴
以上の調査結果から、企業がミドル層の転職者に求めているのは、「類似業界での十分な経験もしくはなるべく高い役職でのマネジメント経験」「高いニーズがあり人手不足状態にある専門分野技術への習熟度の高さ」「高いビジネススキルによるいくつかの成功経験」のいずれかであることは明らかだ。
それらの条件のうち、ひとつでもクリアしていれば転職後の年収アップも期待できそうだ。もちろん、今回調査対象となった転職コンサルタントへの依頼も年収アップを図る上でひとつの助けとなるだろう。
文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
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