顧客に投資話を持ちかける証券マンは、そもそも自分でも株式投資ができるのだろうか?もし可能なら、彼らがどのような銘柄を購入しているのかは気になるところだ。

証券マンの株式の購入は法律にこそ抵触しないものの、証券会社を統括する日本証券業協会や取引所の規則に沿った社内ルールによって、制限をかけられているケースがほとんどだ。

1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持ち、自身も某証券会社での勤務経験のあるIWANAGAHIME氏が、自身と同じくキャリアの長い、ベテラン証券マンにヒアリングをして、実際に彼らが顧客に勧めるだけでなく、自分でも購入してみたいと考えている銘柄を聞き出した。

日本が誇るエンターテインメント企業「ソニーグループ」

近い将来、現実社会と仮想空間の区別がなくなるかもしれない。

その世界ではアバターと呼ばれる自分の分身が、現実社会と同じように生活を送るのだが、日本の企業でこの分野の先頭を走れるのがソニーグループとの見立てだ。傘下のソニー・インタラクティブエンタテインメントが提供するゲーム向けVRヘッドセットでは、すでに仮想空間を体感できる。

ソニーグループを支えるのは、ゲーム&ネットワークサービス、音楽分野、映画分野、エンターテインメント&サービス分野などの複数の事業だ。それぞれの事業分野の関連性が深く、相乗効果の高いところがソニーグループの強みである。

ゲームの世界だけにとどまらず、ネットワークを使って国民の生活に浸透させられれば、将来性は確かに大きいだろう。証券マンの多くが、ソニーグループの将来性を高く評価していた。

半導体産業を支える「信越化学」の底力

コロナ禍でテレワークが進み、パソコンやスマートフォン、家電から自動車に至るまで多くのものが不足している。その原因の主な要因が、半導体などの化学製品だ。

信越化学は、半導体やシリコンをはじめ、数多くの電子材料や化学製品で世界トップシェアを誇っている。シリコンウエハー、塩化ビニル樹脂、合成石英、合成性フェロモンが世界第1位のシェアであり、メチルセルロース、フォトレジスト、フォトマスクプランクスは世界第2位のシェアである。

2022年6月、政府は台湾TSMC(台湾積体電路製造)とソニーグループ、デンソーが熊本県に建設中の半導体工場に対して、補助金を最大で4,760億円拠出することを決めた。

海外企業にこれだけの補助金を出すことはまさに異例で、政府が半導体事業を国策に据えている証拠であろう。当然、その基盤を担う信越化学にも証券マンの熱い視線が注がれていた。

逆襲なるか?EV(電気自動車)事業に出遅れた「トヨタ」の思惑

トヨタの株価がさえない。2022年1月18日に2,475円を付けたトヨタの株価だが、1年たった今でも1,900円前後で低迷している。輸出企業であるトヨタは、円安の恩恵を受ける代表格だ。しかし、この1年に限っていえば、そのシナリオは崩れている。

半導体不足や原材料費の高騰が株安の大きな原因だが、証券マンはハイブリッド車に固執したことでEV(電気自動車)への対応が遅れたためだと指摘する。しかし、その一方でトヨタの持っている潜在能力には注目していた。

トヨタの最大の魅力は、次世代車に関連する特許の数だ。EV(電気自動車)、全固体電池、自動運転、つながるクルマなど多くの部門で外国企業を抑えて1位になっている。今後の自動車産業では、この知財がかなり有利に働くと考えているのだ。株価の水準を考えれば、投資したくなる気持ちも分かる。

証券マンの予想は信用できるのか?

証券マンといえども、個別株を的中させる確率は個人投資家とそれほど遜色はないのだ。ただ、毎日マーケットに接している彼らは、自ずとその臭覚も磨かれていく。注目するテーマや銘柄選びのプロセスは、個人投資家にも大いに参考になるはずだ。

文・IWANAGA HIME
キャリア30年以上の投資アドバイザー。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種証券外務員。

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