昨今、複数の人気YouTuberから「広告収入激減」を嘆く声が相次ぎ 、世間の注目を集めている。将来への悲観的な見通しや不安を吐露する人もいて、ネット上ではYouTuberの「オワコン説」まで流れている状況だ。多数のフォロワーを持ち莫大な収入がある彼らに、一体、何が起きているのだろうか。
なぜYouTubeの広告単価が下がっているのか?
広告収入減少の背景には、YouTube広告単価の低下があるようだ。YouTube広告は入札式のような構造のため、単価が下がったということは出稿企業が減った可能性がある。その最大の原因は、ライバルの台頭だろう。
これまでYouTubeは投稿動画の牙城ともいえたが、シュート動画のTikTokがジワジワと市場を拡大。NetflixやAmazon Prime といった動画配信サービスに視聴者が流れているとの指摘もある。その結果、1日最長3時間といわれるネット動画の視聴時間を巡り、視聴者の争奪戦が展開されるようになった。YouTubeの視聴者が減って費用対効果が落ちれば、広告の出稿量も単価も下がっていく。
今後広告単価が下がる動画、上がる動画は?
広告収入激減を明かした人気YouTuberたちは、おおむね実況エンタメ動画の投稿が多い「炎上系」に属する。こういった炎上系を好む視聴者が、より手軽でインパクトが強いTikTokに流れれば、同ジャンルの広告単価は一層下がる可能性もある。
ではどういった動画の広告単価が上がるかといえば、特にこれと断定できる分野はない。ただ、実況系や煽り系はある程度飽和状態といえるため、副業や教育、How toなど実生活に役に立つものや、癒しや潤いを感じられるものが有望との見方もある。
「ポストYouTube 」のコンテンツとは?
YouTubeを脅かす存在として挙げられているのは、やはり15秒〜1分程度の短尺動画で勝負するTikTokだ。YouTubeよりもエンタメ色が濃いうえインパクトも強く、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視しショート動画を好む10代~20代からの支持が高い。幅広い人たちに届くのに加え、拡散力が強いことも特徴だ。
ソフト開発のジャストシステム社が2022年に実施した調査 では、週に1日以上TikTokを視聴する人の34%が「TikTokを見て商品を買ったことがある」と回答。また、米調査会社Insider Intelligenceの22年調査によれば 、TikTokの22年広告収入は前年の3倍の約120億ドル(約1兆5,000億円)に達し、24年にはYouTubeを超えると予測される。
まとめ
YouTubeは玉石混交だった時代から、品質やコンプライアンスを重視する時代へと進化している。人気YouTuberといえども、今後は生き残りを賭けた大きな波に巻き込まれる可能性がある。他者と差別化した企画を醸成できる資質と向上心を備えた人だけが、稼げるYouTuberとして残っていくのかもしれない。
執筆・渡辺友絵
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