なかなか収束を見ないコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴う世界経済の混乱やエネルギー価格の高騰、一時は1ドル150円まで進行した円安……など不安な情勢が続く中、人々はお金・家計についてどういう意識を持っているのだろうか。

お金に関する危機感はあっても未対策の人が多い

お金の相談プラットフォーム「マネーキャリア」を運営する株式会社Wizleapは、2022年11月に20歳から69歳までの男女、各年代100名ずつを対象にお金に関する意識調査を実施した。その結果のうち、注目すべきものを紹介する。

約9割の人が物価上昇やお金に関する危機感を持つ

「あなたはここ最近の円安によって、お金に関する危機感を感じますか」という質問には、危機感を「感じる」と答えた人は全体の87%に達した。なお、アンケート調査実施時期の頃には急激な円安が生じていた。

「あなたはこの1年で物価上昇について、実感がありますか」という質問には、「実感がある」と答えた人は93%だった。ここから、約9割の人が物価上昇や円安への危機感を持っているといっていいだろう。

「食料品・酒類」「光熱費」「日用品」で物価上昇を実感

物価上昇を感じるものについて複数回答可の形で質問したところ、1位が「食料品・酒類」77.2%、2位が「光熱費」68.6%、3位が「日用品」61.3%、4位が「ガソリン代」56.4%の結果になった。

回答数はより少ないが5位以下は、「外食費」32.4%、「テーマパーク入場料」16.6%、「その他」6.0%となっている。ここから、日常的な出費において物価上昇を感じる機会が多いことが分かる。

お金に関する情勢に危機感を持っていても「対策せず」

円安に危機感を持つと回答した人に対して、「現在、円安について何らかの対策をしていますか」と質問したところ、54.0%が「対策をしていない」と回答した。

2023年の景気予想は「悪くなる」「とても悪くなる」が半数以上

「2023年の景気についてどのようになっていくと思いますか」という質問には、「とても良くなると思う」7.8%、「良くなると思う」28.7%という数字に対し、「悪くなると思う」47.5%、「とても悪くなると思う」16.0%となっており、悪くなると思う人が多いことが明らかになった。

以上の結果をまとめると、物価上昇などに危機感を募らせ、2023年の景気にも不安を覚えてはいるが、具体的な対策はとっていない人が多い印象となる。

半数以上が投資に関心、「つみたてNISA」など

次に、お金の見える化アプリ「マネーフォワード ME」利用者9,727名を対象に、2022年10月に実施された「お金の意識調査」の内容を紹介しよう。

物価上昇・円安で支出はどうなった?

物価上昇・円安を理由に「増えた」と感じる支出がある人を対象に、具体的な支出項目を聞いたところ、1位が「食費(日々の食料品)」、2位が「水道・光熱費(水道代、電気代、ガス代など)」、3位が「外食費」となった。

一方、物価上昇・円安を理由に「減った」と感じる支出がある人を対象に、具体的な支出項目を聞いたところ、1位が「外食費」、2位が「交際費」、3位が「趣味・娯楽費(旅行、映画・音楽・ゲームなど)」となった。

「外食費」が“増えた”の3位になった一方で“減った”の1位になっているのは、一見、矛盾しているように思える。これは、外食での単価が増えたことを理由に回数を減らした人がいる一方、回数はそのままで出費が増えてしまった人もいるということだろう。

同様に交際費や趣味・娯楽費も“減った”と答えた人は、回数自体を減らしたことで結果的に出費額が減ったものと思われる。

半数以上が投資に関心

2022年を通して投資への意識・興味関心が高まったという人は全体の55%に達した。この先、投資を始めてみたいと考えている人が特に気になっている投資先を聞いたところ、1位は「つみたてNISA」、2位が「投資信託」、3位が「NISA(一般)」となっている。

今後身につけたい、気にしたいと思う金融リテラシーや知識があると回答した8,877名に対しその具体的な対象を聞いたところ、1位「投資・資産運用について」43%、2位「家計・資産管理について」14%、「税金について」12%の結果となった。

2023年のお金の使い方は?

2022年の冬におけるボーナスの使い道を聞いたところ、1位が「貯蓄へ回す」、2位が「投資へ回す」、3位が「趣味・娯楽費(旅行、映画・音楽・ゲームなど)」となった。

2023年に「予算を増やしたい」と思う支出を聞いたところ、1位が「趣味・娯楽費(旅行、映画・音楽・ゲームなど)」、2位が「教育費」、3位が「健康・医療費(フィットネス、ボディケア、医療など)」となった。

逆に「減らしたい支出」は、1位が「食費」、2位が「水道・光熱費(水道代、電気代、ガス代など)」、3位が「外食費」という結果となっている。ここからは、日常的な支出は減らしつつ、楽しみや将来への備えはお金をかけたいという方向性がうかがえる。

お金のリテラシーが高い層は慎重な支出傾向を継続

どちらの調査でも、2022年には物価上昇により生活費が圧迫されている状況が明らかになった。2023年の景気や物価についても、悲観的な見方をする人が多いようだ。しかし、生活費を節約して抑えつつ、自分や家族の楽しみや健康に対しては、積極的にお金を使いたい傾向も見られる。

各アンケート調査が実施された時期の後、円安から円高方向への振り戻しが生じたことや、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策が緩和傾向になってきたことによる安堵感から、2023年は分野によっては支出が増える可能性もある。アンケート結果にもそれが反映されているといっていいだろう。

しかし、急激な円安から急激な円高への反転は必ずしもいいことばかりではなく、またコロナ禍もウクライナ侵攻もいまだ収束を見ていないことを考えれば、安心して支出を増やせる状況とは言い難い。

そこで、一般的には個人の支出が増えて景気がよくなる分野も出てくる一方、お金のリテラシーの高い層では慎重な支出傾向が続き、資産を守りながら増やすためにNISAなどを活用した投資へその分を回すことになりそうだ。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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