チャート:家計調査の就労者数はNFPを大幅に上回る

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家計調査の就労者数を雇用形態別でみると、パートタイムが増加を牽引しただけでなく、フルタイムが27.8万人増と過去半年間のトレンドに反し2022年5月以来の力強い伸びを達成した。一方で、複数の職を持つ者は3カ月ぶりに減少した。

チャート:パートタイムと複数の職を持つ者が増加、肝心のフルタイムは減少傾向続く

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チャート:フルタイムの雇用増、1月は22年5月以来の高い伸び

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かつてイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)前議長のダッシュボードに含まれ、「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全就業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々、縁辺労働者、職探しを諦めた者など)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全就業率 採点-△ 経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている者などを含む不完全就業率は6.6%と、1994年の統計開始以来で最低を更新した前月の6.5%を上回った。

2)労働参加率 採点-〇 労働参加率は62.4%と、前月の62.3%から上昇し20年3月以来の高水準だった22年8月の62.4%に接近した。なお、金融危機以前の水準は66%オーバーだった。

チャート:不完全就業率は過去最低水準から上昇、労働参加率と就業率は改善

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3)長期失業者 採点-× 失業者とは、①失職中、②過去4週間に職探しを行なった、③現在、勤務が可能――の3条件を満たす必要がある。失業期間の中央値は9.1週と前月の8.9週から延びた。27週以上にわたる失業者の割合は19.4%と、2020年8月以来の低水準だった前月の18.3%を上回った。

チャート:長期失業者が全失業者に占める割合は、2020年8月以来の低水準

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4)賃金 採点-×(インフレ抑制の観点では〇) 今回は前月比0.3%上昇し、前月の0.4%を下回った。前年比は4.4%と2021年8月以来の低い伸びだった。生産労働者・非管理職(民間就労者の約8割)の平均時給は前月比で0.2%。前年比は5.0%上昇し、21年6月以来の5%割れが迫った。

編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2023年2月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。