(財生産業の内訳)

・建設 2.5万人増、12ヵ月連続で増加<前月は2.6万人増、6ヵ月平均は1.9万人増 ・製造業 1.9万人増、21ヵ月連続で増加>前月は1.2万人増、6ヵ月平均は2.3万人増 ・鉱業/伐採 0.2万人増(石油・ガス採掘は2,600人増)<前月は0.5万人増、6ヵ月平均は0.3万人増

チャート:セクター別、就労者の増減

nfp23jan_bysector2 (作成:My Big Apple NY)

チャート:20年2月との比較、民間サービス部門はベンチマーク改定を受け前月の2.2%増→2.5%増と10ヵ月連続でプラス圏をたどると共に上げ幅を広げた。政府を含めたサービス部門の11業種中、引き続き7業種が当時の水準を超えた。しかし、ベンチマーク改定を受け小売がマイナスに転じた一方で、公益がプラスに転じた。

今回、輸送・倉庫(16.5%増、27ヵ月連続)、専門サービス(6.9%増、17ヵ月連続)、情報(7.3%増、17ヵ月連続)、金融(2.8%増、16ヵ月連続)、公益(1.4%増、14ヵ月連続)、卸売(2.5%増、11カ月連続)、教育・健康(1.3%増、4カ月連続)となる。一方で、小売のほか娯楽・宿泊、その他サービスに加え、政府はマイナスをたどった。

財部門は前月の2.1%増と、前月の1.8%増を超え9ヵ月連続でプラス圏を守った。建設(3.6%増)が12ヵ月連続でプラスとなっただけでなく、製造業(1.7%増)も8ヵ月連続で増加。建設と製造業そろってプラス圏を回復してから最も力強い伸びとなった。鉱業・伐採は8.0減だったが、20年2月以降で最も小幅な下げだった。

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(作成:My Big Apple NY)

平均時給は前月比0.3%上昇の33.03ド ル(約4,290円)と、市場予想と一致した。前月の0.4%(0.3%から上方修正)に届かなかったものの、24ヵ月連続で上昇している。前年同月比は4.4%上昇し、市場予想の4.3%を上回った。前月の4.8%(4.9%から下方修正)以下となり、2021年8月以来の低水準に並んだ。

生産労働者・非管理職の前年同月比は5.0%上昇、前月の5.3%(上方修正)を下回り、2021年6月以来の5%割れが迫った。労働参加率の改善や景気減速に合わせ、賃上げ圧力が後退した可能性を示唆した。

チャート:平均時給は、生産労働者・非管理職の前年同月比でピークアウト感が漂う

nfp23jan_wage (作成:My Big Apple NY)

週当たりの平均労働時間は34.7 時間と、コロナ禍で経済活動が停止した2020年4月以来の低水準から急回復した。複数の職を持つ者が減少しただけでなく、フルタイム就業者が急増したことが一因とみられる(後述)。ただし、2006年以来の最長を記録した2021年1月の35時間を下回り続けた格好だ。

財部門(製造業、鉱業、建設)の平均労働時間は40.2時間と、前月の39.7時間を超え2021年3月以来の高水準。ただし、コロナ禍で最長となった2月の40.4時間以下が続いた。全体の労働者の約7割を占める民間サービスは33.6時間と、6カ月ぶりの水準を回復した。2006年以降で最長を記録した21年5月の33.9時間以下が続く。

チャート:週当たり平均労働時間は、短縮傾向が続く

nfp23jan_wh (作成:My Big Apple NY)

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は民間雇用者数の伸びが前月比で大幅増だったほか、週当たり労働時間も延びたため、前月比1.2%増と3カ月ぶりにプラスに転じた。平均時給の伸びが鈍化したが、労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比1.5%増と増加トレンドを維持した。

失業率は3.4%と、市場予想の3.6%及び前月の3.5%を下回り1969年5月以来の低水準を記録した。家計調査の人口推計も修正したため前月分の数値とは連続性がないものの、失業者が前月比で減少した一方で就業者が増加し失業率の低下を誘った。ただし、自発的離職者数は4カ月ぶりに増加し、自発的離職者数に占める失業者の割合は15.3%と4カ月ぶりの水準へ戻した。

チャート:自発的離職者数は前月比7.2%増の88.4万人と、4ヵ月ぶりに増加した。失業者に占める自発的離職者数の割合は15.3%と、4ヵ月ぶりの水準。

nfp23jan_leavers (作成:My Big Apple NY)

労働参加率は62.4%、前月の62.3%を上回り2020年3月以来の高水準だった22年8月の水準に並んだ。なお、コロナ感染拡大直前の20年2月は63.4%である。

就業率は60.2%と前月の60.1%を上回り、2020年2月(61.1%)以来の高水準となった。ただし、コロナ感染拡大直前にあたる20年2月の61.2%に距離を残す。

また今回、雇用増加を支えたのは「病気が理由で働けない」とする人々が減少したことが一因と考えられよう。1月は前月比23万人減(2カ月連続で減少)の128万人で、過去2カ月間の労働参加率の改善と整合的だ。

チャート:「病気が理由で働けない」とする人々、コロナ禍後の平均以下に

nfp23jan_illness (作成:My Big Apple NY)

足元、事業所調査(給与台帳ベース、NFPや平均時給、週当たり労働時間など、CES)と家計調査(聞き取り調査ベース、失業率や労働参加率など、CPS)の就労者数の乖離が続くが、今回はNFPが51.7万人増に対し、家計調査の就労者数は89.4万人増と2カ月連続でNFPを大幅に上回った。