NY時間午前11時30分時点でマーケットの反応をみると、米1月雇用統計に加え米1月ISM非製造業景況指数も好調な米経済動向を表した結果、米10年債利回りは3.38%台から一時3.55%へ急伸しました。ドル円も一時128円半ばから、一時131.18円台へ上振れ。
米株相場はというと、Fedが前回FOMC後のパウエルFRB議長の会見で発言したように3月の利上げ打ち止めではなく「複数回」の利上げが意識されつつ、ダウは小幅高、S&P500とナスダックは下落とまちまちです。
チャート:ドル円(ローソク足)、米10年債利回り(オレンジ線)とも米1月雇用統計と米1月ISM非製造業景況指数を受け上昇
(出所:Tradeview)
米10年債利回りの急伸、ドル高、軟調な米株動向が示すように、Fedの引き締め継続懸念が再燃しています。FF先物市場によれば、NY時間午前11時半時点で3月21~22日開催のFOMCだけでなく、5月2~3日開催の0.25%利上げも織り込み始めターミナル・レート予想は2022年12月FOMC通り5.0~5.25%へ上方修正されました。
5月FOMCの利上げ確率は55.9%と、前日の30.0%から急伸しています。しかし、利下げ転換は2月FOMC直後の11月から前倒しされ9月に、さらに12月にも追加利下げを織り込みます。トレーダーの予想は現時点で、依然としてFed高官よりハト派的と言えるでしょう。
(作成:My Big Apple NY)
米1月雇用統計のポイントは、以下の通り。
(労働市場にポジティブ)
・NFPは好調なペースで増加 ・過去2ヵ月分のNFPが上方修正 ・失業率は1969年5月以来の低水準に並ぶ ・労働参加率は改善 ・週当たり労働時間が改善 ・就業率は2020年2月以来の高水準 ・フルタイムの労働者が増加
(労働市場にネガティブ/ニュートラル)
・平均時給、前年同月比の伸びが減速(インフレ抑制の観点ではポジティブも、購買力の観点でネガティブ) ・不完全就業率は過去最低からやや上昇 ・長期失業者の割合が上昇
米1月雇用統計の詳細は、以下の通り。
米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比51.7万人増となり、市場予想の18.5万人増を上回った。前月の26.0万人増(22.3万人増から上方修正)も大幅に超え、6カ月ぶりの50万人乗せとなった。2022年平均の40.1万人増を超え労働市場の好調ぶりを映し出した。
2022年11月分の3.4万人の上方修正(25.6万人増→29.0万人増)と合わせ、過去2ヵ月分では合計で7.1万人の上方修正となった。
NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比44.3万人増と市場予想の19.0万人増を上回った。前月の26.9万人増(22.0万人増から下方修正)を含め、25ヵ月連続で増加した。民間サービス業は39.7万人増、前月の22.6万人増(18.0万人増から下方修正)を下回った。
チャート:NFPは堅調なペース維持も2021年以降で最も低い伸びに並び、失業率は3.5%へ低下
(作成:My Big Apple NY)
サービス部門のセクター別動向は、11業種中で10業種が増加し前月の9業種を上回った。今回最も雇用が増加した業種は娯楽・宿泊、2位は教育/健康、3位は専門サービスだった。一方で、情報は2カ月連続で減少した。
(サービスの主な内訳)
―増加した業種
・娯楽/宿泊 12.8万人増、25ヵ月連続で増加>前月は6.4万人増、6ヵ月平均は8.2万人増(そのうち食品サービスは11.7万人増>前月は11.0万人増、6ヵ月平均は9.9万人増) ・教育/健康 10.5万人増、12ヵ月連続で増加>前月は7.6万人増、6ヵ月平均は8.6万人増(そのうち、ヘルスケア・社会福祉は7.9万人増、12カ月連続で増加<前月は8.0万人増、6ヵ月平均は7.8万人増) ・専門サービス 8.2万人増、9カ月連続で増加>前月は3.9万人増、6ヵ月平均は3.1万人増(そのうち派遣は2.3万人増、3カ月ぶりに増加>前月は4.1万人減、6ヵ月平均は1.8万人減)
・政府 7.4万人増>前月は0.9万人減、6ヵ月平均は3.4万人増 ・小売 3.0万人増、2カ月連続で増加>前月は0.1万人増、6ヵ月平均は0.3万人減 ・輸送/倉庫 2.3万人増、2カ月連続で増加>前月は1.3万人増、6ヵ月平均は0.5万人減
・その他サービス 1.8万人増、12ヵ月連続で増加>前月は1.6万人増、6ヵ月平均は1.8万人増 ・卸売 1.1万人増、2カ月連続で増加=前月は1.1万人増、6ヵ月平均は0.9万人増 ・金融 0.6万人増、23カ月連続で増加<前月は1.1万人増、6ヵ月平均は0.9万人増 ・公益 0.1万人増、10カ月連続で増加=前月は0.1万人増、6ヵ月平均は0.1万人増
―横ばいの業種
なし
―減少した業種
・情報 0.5万人減、2カ月連続で減少=前月は0.5万人減、6ヵ月平均は0.4万人増
財生産業は前月比4.6万人増と前月の4.3万人増(修正値)を上回り、21ヵ月連続で増加した。業種別をみると、製造業が21ヵ月連続で増加したほか、建設は12ヵ月連続で増加。油価が米国の需要減退を嫌気し80ドル前後で推移しつつ、鉱業・伐採は5カ月連続で増加した。詳細は、以下の通り。