<事例5>アベ政治を許さない

<事例5a>日本経済新聞 2017年7月1日

安倍晋三首相は1日、JR秋葉原駅前で都議選期間中初めてとなる街頭演説に立った。一部の聴衆から「帰れ」コールが巻き起こり「演説を邪魔するような行為を自民党は絶対にしない」といらだちをあらわにし、ヤジを飛ばす聴衆に向かって指を指して「こんな人たちに私たちは負けるわけにはいかない」と反論する一幕もあった。

暗殺された安倍晋三元総理は在職中に日本の自称リベラル勢力から「アベ政治を許さない」と罵倒されました。これはモラリズムによるリベラリズムの否定です。その象徴的な事件がJR秋葉原駅前の安倍氏の演説に対する選挙妨害でした。自称リベラル勢力は、選挙演説中の安倍氏に対して、組織的に「安倍帰れ、安倍ヤメロ」コールを行って演説を妨害しました。

さらには、安倍氏がこの妨害行為に対して「こんな人たちに私たちは負けるわけにはいかない」と反論すると、朝日新聞を始めとする自称リベラル系マスメディアは「自分に反対の考えを持つ人々は国民ではないと思ってる」などとして安倍氏を非難しました。

<事例5b>YAHOO!JAPANニュース 2017/07/03

■「こんな人たち」発言にみる安倍自民の本当の敗因 江川紹子氏

内閣総理大臣は、安倍さんの考えに共鳴する人たちだけでなく、反対する人々を含めた、すべての国民に責任を負う立場だろう。仲間や支持者だけではなく、批判勢力を含めた、あらゆる国民の命や生活を預かっている。なのに安倍さんは、自分を非難する人々を「こんな人たち」という言葉でくくってしまい、それに「私たち」という言葉を対抗させたのである。「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかない」と。

内閣総理大臣は、安倍さんの考えに共鳴する人たちだけでなく、反対する人々を含めた、すべての国民に責任を負う立場だろう。仲間や支持者だけではなく、批判勢力を含めた、あらゆる国民の命や生活を預かっている。なのに安倍さんは、自分を非難する人々を「こんな人たち」という言葉でくくってしまい、それに「私たち」という言葉を対抗させたのである。「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかない」と。

都議選の応援は、自民党総裁という立場で行ったものだろうが、安倍さんを紹介する垂れ幕には、しっかり「内閣総理大臣」と書かれ、司会の石原伸晃議員も「ただいま、安倍総理が到着しました」と紹介していた。

小泉内閣の総理秘書官だった小野次郎・元参議院議員は、ツイッターで次のように書いている。

〈この方は、自分に反対の考えを持つ人々は国民ではないと思ってる。総理になって何年も経つのに、この方は全国民のために選ばれた職にある自覚は持ち合わせない、遺憾ながら。〉

同感である。

安倍氏は、民主主義の根幹である選挙の妨害行為を組織的に行う群衆に対して「こんな人たちに私たちは負けるわけにはいかない」と主張したのであって「自分に反対の考えを持つ人々は国民ではない」と主張したわけではありません。これは極めて悪質な[ストローマン論証]です。

日本の自称リベラル勢力は、自分に反対の考えを持つ人々との議論を論理的に進めることなく、自分に反対の考えを持つ人々を悪魔化してモラリズムで排除するのです。対照的に安倍氏はどんなに罵られ続けても異なる意見を排除することはありませんでした。日本の自称リベラル勢力の選挙妨害は明確に「正義」に反するものであり、反リベラリズムに他なりません。