2022年はインフレが家計を直撃した1年だった。光熱費やガソリン代、スーパーの食材など、多くのモノが値上げされ、その傾向は今しばらく続きそうだ。企業にとっても、人件費や原材料費の高騰は今年も頭の痛い問題だ。今回はキャリア30年以上の投資アドバイザー、IWANAGAHIME氏が特に苦戦が強いられる業界をピックアップして、その内情を検証する。

ネット通販の普及は好調、一方で……

インターネットで注文した商品が、翌日自宅に届くことが当たり前になってきた。宅配便が昼夜を問わず町中を走り回り、ここ数年でネット通販がより身近な世の中となった。

一方で、以前よりドライバーの労務管理が難しいことが指摘されている。消費者への過剰なサービスが、逆に企業の収益を圧迫しているのが現状だ。

昨年の産業別企業倒産件数(東京商工リサーチ調べ)を見ると、全産業の平均が+6.6%(前年比)であるのに対して、運輸業は35.56%(前年比)と倒産件数が突出している。労働環境に配慮しながらドライバーの効率化を図らなければ、今年も厳しい現実が待ち受けているだろう。

建設業界は人員不足により倒産続出

建設業界は、スーパーゼネコンと呼ばれる鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店を筆頭にして、数多くの下請け会社や孫請け会社が乱立するピラミッド型の業界団体である。東京オリンピック以降も、首都圏の再開発や大阪・関西万博(2025年)など、その関連事業はめじろ押しだが、目を凝らしてみると建設業界の内情は少し異なるようだ。

ここ数年の大型案件では、ゼネコン各社は採算を度外視して受注競争に明け暮れてきた。そのしわ寄せが今も続いているのだ。建築資材の高騰や作業員の確保などいまだに解消されず、下請け会社や孫請け会社にもそのしわ寄せが及んでいる。

昨年の建設業の倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は前年比で+12.11%であった。これは、全産業の平均+6.6%の倍近い数字だ。世の中ではインフレを許容するムードも広がっており、うまく時流に乗れなければ、淘汰される建設会社は中小企業を中心に今年も広がるだろう。

高齢者への押し売りも問題化

この3年間は政府の方針に従い、事業資金を積極的に貸し付けてきた銀行だが、そろそろ返済を求める時期に差し掛かってきた。スムーズに回収が進めばよいが、どうもその雲行きが怪しい。得意先への融資を含めて、返済期間の延長だけでなく、融資が回収できなくなるとまで噂されているからだ。

それ以上に厄介なのが、ここ数年進めてきた地方銀行のビジネスモデルだ。低金利の影響で、利ざやを稼げなくなった地方銀行は、集めた預金を融資に回さず、金融市場(株式や外債など)で自ら運用を始めていた。しかし、海外の金利が上がったことで外債が暴落し、大きな含み損を抱えてしまったのだ。

運用面だけではなく、営業姿勢も問題視されている。地方銀行のいくつかは傘下に証券会社を作って、リスクの高い金融商品を高齢者に販売しており、すでに地銀の再編は進んでいるが、国の支援を要請する事態にまで発展する可能性も否定できない。

2023年は金利上昇の年?

いつの間にかデフレが永久に続くような感覚に陥っていたが、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、世界的なインフレが円安を伴って日本にも波及することを、身をもって体感した。

インフレが激しい米国では、その対策として2022年3月に0.25%だった政策金利を、同年12月には4.5%にまで引き上げた。日本も他人事だと笑ってはいられない。インフレを抑えるには、金利を引き上げることが常とう手段になるからだ。

もし、日本でもインフレに伴い金利が上昇すれば、実態経済への影響も避けられない。有利子負債の大きな会社は、倒産の憂き目に遭うことだって考えられる。2022年はインフレの1年だったが、2023年は金利上昇の年となるだろう。

文・IWANAGA HIME
キャリア30年以上の投資アドバイザー。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種証券外務員。

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