■ 農業由来の焼却

主に農家による残渣や雑草焼却であり、昔から焼却処理していた、灰は肥料になる、との理由で、廃掃法除外規定を援用し現在も各地で頻繁に行われている。

各自治体への苦情はあっても、殆ど取り締まられることが無いと思われる。JAも一部を除き野焼きを終息させるような積極的指導をしているという話も殆ど聞いたことがない。

野焼きを頻繁に行う農家の中には地元の名士、旧家もあり、行政やJA職員などによる注意を聞き入れず燃焼行為を強硬に辞めず、注意警告を与えに臨場した官吏に刃向かうような事例もまた多いと聞いている。

近年は移住等により田園地帯に引っ越し、そこで地元民の野焼きの洗礼にあう例も増えているという。

法では既に禁止されており、しかし元の住人から「昔からやっていた、後からきて文句を言うな」と言われるという。

農水省は、これらの野焼き行為は燻炭(これは既に秋田県や新潟県では禁止された)も含めて農作にとって必ずしも必要ないので辞めるようにとの方針を示しており、「燃やさない農業」を提唱しているはずである。

しかし現場では古くからの慣習を捨て去れず相変わらず現代でも各地で頻繁に行われている。

対策としては例外条項の廃止による禁止が考えられるが、当然に農家による大きな反発が想定される。

あくまで筆者の私案だが、現実的な解決策として雑草や残渣等を専門にJAや行政が集積しまとめて処分する、バイオマス発電所で混焼処理という方法は如何だろうか。カーボンニュートラルを標榜するなら最も適した処理方法と言えるはずである。

良質な農作物を生産しながら、近隣に煤煙悪臭を撒き散らすのは非常に残念であり、スマートではないと筆者は思う。大気汚染問題は重要であり、何らかの対策を採るべき時機は早いほうがよい。

また、ご存じと思われるが、家庭菜園は農家ではないので野焼きは明確に違法である。

■ 畜産業による臭気と煤煙

農業に関連し、酪畜産業から発する煤煙悪臭の問題も存在する。

糞尿臭気が主であり、これは当然に消臭のために各種対策が行われている。

これに対して完全に見過ごされているものに、飼育動物に与える飼料調理に薪竃を使用する事例がある。

概ね朝夕に、大量の煤煙を発しながら薪竃を使用する。

長時間ではないものの連日朝夕であり、周辺住民への生活環境破壊にはなる程度の大量の煤煙を出し、焚き付けに使用した焦げた紙片が空から舞い落ちてくることもあるという。火災の危険も有り、厳に規制すべきと考える。

燃えながら牧場より飛来した焦げた紙片

PM測定値

人気のブランド食肉を生産する現場が地域還元策も無いまま、一方的に煤煙を撒き散らすという、地域の環境負荷になる現実がある。木材燃焼による方法を採る必要は無い。大気汚染を起こさない代替手段を検討するように、農水省は指導を徹底されたい。