コストの削減やレジ部門の人手不足、コロナ禍による非接触化もあり、セルフレジの設置店舗は増加傾向にある。セルフレジの導入で多大なメリットがある一方、人手による監視の目が少なくなり、万引などの窃盗行為が懸念される。実際にセルフレジで万引が増加したのか、解説していく。

「万引をしやすい店舗」と「しにくい店舗」の二極化

2022年8月の警視庁が発表によると、2021年の万引の発生件数は86,237件で、年々減少傾向なものの、ひったくりや車上荒らしなどの窃盗行為が10年間で7~9割減少したことと比較すると、少なくない数字だ。万引の発生件数がなかなか減少しない要因として、「万引をしやすい店舗」に窃盗行為が集中することがあげられる。

「読売新聞オンライン」によると、全国的に万引の発生件数が減少傾向な一方で、一部店舗では増加傾向にあるという。万引が増加した店舗のうち、約4割の店舗が人件費の不足などを理由に従業員・警備員の店内巡回の対策がなかった。従業員・警備員を雇用しての店内巡回はコストがかかるため、売り場規模が小さい店舗では実施が厳しい。防犯カメラは死角がどうしても発生するため、自動化が著しい世の中でも「人の目の監視」は必須だ。

「あれ」がセルフレジの万引を助長する

レジ袋の有料化によって、エコバッグに物を入れることが容易という組み合わせが万引の増加につながったと考えられる。

セルフレジは自身で買ったものをレジに通すので、レジ係の店員がいない。万引をしても気づかれない心理が働くケースもあるだろう。レジ袋が有料化になり、エコバッグなどを買い物で使うようになったことも万引が増えた要因だと考えられる。

貧困よりも心のゆとりが万引の要因?

近ごろ、円安や全国的な貧困化が問題視されている。しかし、貧困だからといって万引は許されない。
万引きは、主観的に切羽詰まったと感じたときに万引をしてしまう傾向にあるという。一番必要なことは困窮している隣人を思い合う、金銭的なゆとりや心のゆとりがあるような社会ではないだろうか?

文・杉山 諒典
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融ライター。立命館大学卒業後、金融機関勤務を経てFP資格を取得。保険やローンなどの金融業務にも携わる。金融機関を退職後、現在は各種相談業務や執筆活動などを行っている。得意領域は不動産、保険、ローン。

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