40代で資産形成を始めようとする人に人気の「投資信託」。株式や債権などの商品を組み合わせた積立投資の代表的商品だ。ここでは「一体どういうことなのか?」と疑問を持つ初心者の人に向けて、選び方やデメリット、儲けの計算から税金までを解説する。

投資信託とは何?始めるのはいたって簡単

投資信託とは金融商品の“福袋”のようなもので、国内株式・国内債券・海外株式・海外債券などのさまざまな商品が少しずつ詰め合わせになっている。1社の株式なら数十万円必要なところが、投資信託なら1万円程度から選べる。

投資信託を始めるには、まず何をすればいいのか。証券会社に口座を作り、入金を済ませたら、好きな投資信託の口数を選択して注文するだけだ。ネットショッピングと変わらない。

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投資信託を選ぶときの基本

(写真=Chinnapong/Shutterstock.com)

取引コストが低いものを選ぶ

投資で思ったとおりの結果を出すために重要なのは取引コストを下げることだ。運用結果はコントロールできないが、手数料は事前に明示されている。同じような内容の商品であれば、当然コストが低いものを選ぶべきだ。

一般的な投資信託では次の3つの場面で手数料がかかる。購入時と運用期間、解約時だ。運用を委託している間ずっとかかるのが信託報酬と呼ばれ、ここをいかに下げるかがポイントといってよい。

運用期間が自分の資金使途と合っているか確認する

投資信託の中には運用期間(償還日)が設定されているものがある。資金使途がはっきりしている場合は別だが、老後資金のように期限が決まっていない場合は無期限のものを選ぶ必要がある。目論見書や証券会社のホームページなどで確認しよう。

毎月分配金が出るタイプの投資信託は魅力が薄い

分配金が毎月出るものに「お小遣い」に似た魅力を感じる人もいる。せっかく現金で持っておくよりも有利に運用するために投資したのに、稼いだ先から換金するのではあまり意味がない。儲けを現金化せずに運用する、つまり再投資することで複利の効果を生み出すことが投資の魅力だ。

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投資信託で注意すべきデメリット

投資初心者でも手を出しやすい商品と言われるが、デメリットを理解したうえで購入しないと、元本割れするなど運用に失敗してしまう可能性がある。

最大のデメリット

投資信託の売買や保持には諸経費がかかり、収益を目減りさせる要因なので、これが高いことは最大のデメリットだ。運用成果投資信託における諸経費には以下の5つがある。

  1. 販売手数料 1~3%が一般的……投資信託を買う時に発生する手数料で、販売元である銀行や証券会社などの販売会社に支払う。これが無料のノーロード投信もある。
  2. 信託報酬 運用や資産管理の手数料……資金を運用する会社(投資信託委託会社)に支払う手数料のこと。
  3. 監査報酬 監査の費用は投資家持ち……法律で定められた監査にかかる費用。
  4. 売買委託手数料 投信が株や債券を買うための費用……投資信託に組み込まれている株式や公社債などを運用(売買)するための費用。
  5. 信託財産留保額 解約する時にかかる……支払う基準価額に一定率をかけた金額が解約代金から差し引かれる。ただし、信託財産留保額が発生するかどうかは投資信託ごとに異なる。

その他3つのデメリット

  • 換金まで時間がかかる(流動性が低い)……一般的な投資信託では解約申込から4営業日目以降、海外の金融商品を含む投資信託では5営業日以降に換金される。
  • 解約できない期間(クローズド期間)がある……一般的な投資信託では解約申込から4営業日目以降、海外の金融商品を含む投資信託では5営業日以降に換金される。
  • 複雑な仕組みの商品がある……「内容が分からない金融商品(投資)には手を出さない」は鉄則だ。

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    投資信託を買うなら注意すべき4つのデメリット(2019.1.12)

投資信託における本当の「利回り」とは 儲かる度合いの正確な調べ方

(写真=gopixa/Shutterstock.com)

投資した額からどのくらいの儲けが出たのかを「利回り」というが、投資信託において利回りを表す指標は何だろうか。

投資信託における利回りとは

「(1)いくら投資して」「(2)いくら儲かったのか」を表すパーセンテージのことだ。投下した資金に対して、どのくらいリターンがあったのかを示す。利回りの具体的な計算式は、「(2)/(1)÷運用年数×100」。

一見単純だが、(2)をいかに正確に表せるかが重要だ。投資信託の価格を表す「基準価額」の差額利益(売買価格差)と、決算後に支払われる「分配金」だ。この両方を(2)に含める必要がある。また手数料や税金を差し引く必要がある。

トータルリターンで見る重要性

どれだけの利回りが見込めるのかを調べるには、どの指標を参考にしたらいいのか。そこで重視したいのは、トータルリターンだ。これは、基準価額の値動きと分配金の両方が考慮され、手数料を利益から差し引いて算出されるため、投資金額に対する儲けを正確に知ることができる。

調べ方が難しい場合は、投資信託の格付け機関であるモーニングスター社のサイトを利用するといいだろう。同サイトでは、ファンドの一定期間ごとのトータルリターンが掲載されている。

トータルリターンを参考にするための注意点

トータルリターンを使用するにあたっては、注意点もある。そのうち3つを挙げると以下のようになる。

投資信託の税金を確認

(写真=SergeyP/Shutterstock.com)

株式と同様、投資信託も利益が出た際には税金を払う必要がある。

株式投資信託にかかる税金

投資信託にかかる税金は、売却・償還により「譲渡益」が出た際にかかる税金と、「分配金」を受け取る際にかかる税金の2パターンがある。また、税金の取扱いは「株式投資信託」と「公社債投資信託」により異なってくる。

・株式投資信託にかかる税金
株式投資信託で売却・償還時の価格が取得価格より高くなり、「譲渡益」が出た場合に課税される税金は、所得税15%、住民税5%に加えて2037年までは復興特別所得税0.315%を加算した合計20.315%の税率を譲渡益にかけて計算する。計算式として覚えておきたいのは

譲渡益=総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)
支払う税金=譲渡益×20.315%

また「分配金」にかかる税金は、上場株式と同様、20.315%の税率で源泉徴収される。源泉徴収のみで課税関係が終了するため、確定申告は原則不要となる。

・公社債投資信託にかかる税金
公社債投資信託も20.315%の税率による申告分離課税。申告分離課税なので原則は確定申告が必要だが、こちらも株式投資信託と同様、特定口座(源泉徴収あり)で取り引きを行えば自動的に課税関係が終了し、確定申告が不要となる。

公社債投資信託で「分配金」が出た場合、20.315%が源泉徴収される。

投資に税金は付きものだ。できる限り手間をかけず、節税をしながら賢く運用をするのが資産形成における1つのコツといえるだろう。

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投資信託にかかる税金は種類によって違う 納税・節税の方法(2018.12.28)

構成・MONEY TIMES編集部
 

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