Z世代を活かす9象限の人材ポートフォリオとは

では、Z世代をより企業内で活かすためには、どのような人事施策が必要なのでしょうか。

あくまでも私の観点になりますが、Z世代に限らず全ての人材を9象限のブロックという視点で企業のサポートをしていますが、こちらをご紹介いたします。

まず、縦軸に「自律性」という側面で、「社会的自律」「組織内自律」「依存」の3つの段階を設定します。これは、精神面での成長の度合いとも捉えることができます。

依存:人のせい、会社のせい、社会のせいなど今を存在否定している人。

組織内自律:組織内で与えられた環境において自律できる人。そして、与えられた環境内における自分の役割を探究・向上させ続けます。

社会的自律:たとえ組織内にいても、組織という枠を超えて、社会的視野から自分の立ち位置や在り方を探究・向上させ続けるられる人。

次に、横軸に、「自立性」という側面を、「守」「破」「離」の3つの段階に設定します。これは能力面での成長度合いとも捉えることができます。

守:教わった型を守り、本質を理解する段階。多くの新人がまずは守の段階を経て成長します。

破:本質を理解した上で、自分のやり方を模索する段階。

離:型から離れ、新たな型を生む段階。

マネジメントでは、上記の自律性×自立性の9つの視点を意識し、人材のレベルに合わせた接し方・育て方が大事になります。

マネジメントの多くのミスの正体はこの段階とマネジメントの接し方が噛み合っていないことが多いと言えます。

例えば、

・社会との関わりの中で、自分の生き方やキャリアの伸ばし方をしっかりと考え、さらに能力面でも自分なりの成果の出し方を模索している、「社会的自律」×「破」の社員に、ティーチング的マネジメントをしてしまうこと。

・会社に文句ばかりを言っており、能力面でもまだOJTの枠を脱することができない、「依存」×「守」の社員に、コーチング的マネジメントをしてしまうこと。

ここで、大事な視点が、今のZ世代にこそ「社会的自律状態にある人材が増えている」という点です。ここ数年社会的変化のうねりと共に、自分の人生に覚悟をもち、人生設計をすでにもっているZ世代が急増してきた実感があります。彼らは、自分と会社の関わり以上に、自分と社会との関わりをより大事にします。

だからこそ、「社会的自律」×「守」の新人にも、上司からの一方的な指示や命令は効果的な人材育成に繋がりません。なぜなら、自分の生き方への強い願いや想いが尊重されていないと感じ、上司への不信へと直結するからです。

当然、社会に出てまだ間もないため、能力面・スキル面では未熟なことが多いです。しかし、上司からの一方的な指示や命令によって自分の社会的ミッションを大事にされていないと感じるからこそ、この会社を辞めるというのが今のZ世代の行動の特徴だと言えます。

彼らは、「この会社にいることがつまらない」「この会社にいることに意味を感じない」と口々に言います。