Z世代の新しい価値観

このような時代の変化とマネジメントも変化していく過程の中で、Z世代はどんな労働価値観があるのか深掘りしていきます。

リクルートマネジメントソリューションズの「理想の職場・上司像」に関する調査の2011年と2021年のアンケートを比較した結果、この10年間で明らかな変化がありました。

上司世代にとっては理想的だったと思われる要素(1つの目標の共有・鍛え合い・活気・厳しい指導・引っ張るリーダーシップ・情熱)の選択率が下がり、代わりに「個性の尊重・助け合い・1人ひとりへの丁寧な指導・ほめること・傾聴」を職場や上司に求めるZ世代が急増しました。

さらに、同社による新入社員たちに「仕事をするうえで重視すること」を聞いたアンケートの結果によると、外発的動機(権力・金銭・競争)の選択率が低く、内発的動機(貢献・成長・やりがい・仲間)の選択率が高いことがわかりました。

この結果は、「SNS」、「パーソナライズ」されたメディアや教育による影響が非常に大きいと考えます。

Z世代の多くがSNSネイティブです。SNSでの「いいね数」が多ければ他人に認められたことになり、さらなる「いいね」の数を求めることが彼らのモチベーションになります。

また、文部科学省が提唱する、GIGAスクール構想では、1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子供たち1人ひとりに個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育体系が実現されつつあります。

そのため、これからの子供たちは幼少期から他人との比較ではなく、過去の自分との比較に重きをおいた価値基準をもつとも言えます。

だからこそ、さまざまな価値観から自分に合ったものを選ぶ傾向があり、他の世代に比べて「自分らしさ」を強く追求することも大きな特徴です。他者の多様性と自身の個性の両方を尊重し、さまざまな価値観を受け入れる姿勢がうかがえます。

このように、旧世代の「会社のために」という価値観ではなく、Z世代のキャリアの考え方では「自分自身のために」働く価値観が主軸となりつつあります。

まさに、この流れこそが、キャリア自律に繋がります。

キャリア自律とは、「目まぐるしく変化する環境の中で、自らのキャリア構築と継続的学習に積極的に取り組む、 生涯にわたるコミットメント」と定義されていますが、この姿勢こそZ世代に多くが最初からもち合わせている価値観そのものでもあります。

Z世代のキャリアを尊重してあげられるような人事施策が「Z世代に選ばれる企業」の必要不可欠な条件となるでしょう。