こんにちは。
今日は、次の3点のご質問にお答えします。どれも非常に深刻な問題ですからできるかぎりきちんとしたデータを揃えて、議論したいと思います。
ご質問1:なぜ政府日銀は円安誘導するのか?(経団連や他国政府などの暗躍がある?)
ご質問2:このまま日本も米英を追って更に投資家層だけが儲かる社会になっていくのか? 労働分配率が下がりつつあるいま、一般人もNISAなど投資をしないと生きていけなくなるのか? ご質問3:現在のように国民生活が逼迫しているとき、対外純資産を切り崩し国民に還元できないのか? お答え1:実際に、政府・日銀は国民生活の安定と繁栄を第一に考えているとは思えない円安誘導策を延々と展開してきました。

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まず次のグラフをご覧ください。
コロナ騒動が全世界を混乱に巻きこもうとしていた2020年1月から最新のデータが公表されている2022年11月までの、日本の輸出総額の前年同月比変化率を、数量と価格に分解して、円の対ドル為替レートの変動率と並べてみたグラフです。
円の対ドルレートについては、本格的な円安に転じた2021年3月から赤字でどのくらい円安に振れたのかを付記してあります。一方、日本の輸出品全体の価格水準の変動は紺の数字で示しています。
一目瞭然と言うべきでしょうが、円安に転じて以来、一貫して円が安くなった分を埋め合わせるだけではなく、現地通貨ベースで見ても値上げになるほどの大幅な値上げをしています。
日本の輸出品メーカーは「円高になると輸出が激減してやっていけなくなる」と泣き言を言って円安誘導を図ります。ですが、実態はまったく違います。
自動車にしても、電子機器にしても、ファインセラミックスやカーボンファイバーなどの新素材にしても、日本メーカーは品質の競争力が非常に高くて、円高になっても十分採算の取れる輸出量を確保できるのです。
彼らが円安誘導を図るのは、円高でも問題なくやっていける輸出品を現地通貨で値上げしながらコストは円ベースで計算すれば、それだけ収益性が上がる、つまり濡れ手で粟と言えるほど儲かるからです。