食品をはじめ、さまざまな商品に値上げの波が押し寄せる中、それに反して給与が上がらず家計が圧迫されている人も多いだろう。物やサービスの価格は地域によって異なるが、消費意識や貯蓄意識にも地域性はあるのだろうか。意識調査の結果をもとに分析してみよう。

倹約意識は「西高東低」?

ソニー生命は2022年10月、全47都道府県を対象とした意識調査を行った。回答したのは20~59歳の男女で、各都道府県から100人ずつが調査に協力した。

マネー関連の意識を尋ねると、「自分は倹約家だと思う」と回答した人の比率は、岐阜県がトップで61.0%だった。次いで2位が奈良県と宮崎県の60.0%、4位が新潟県の58.0%となった。以下、5位愛媛県、6位山梨県、7位福岡県と続き、8位が同率で東京都・三重県・京都府・岡山県・広島県だった。

「トップ10」に入った12都県を見ると、新潟県、山梨県、東京都は東日本だが、他の9県はいずれも西日本だ。実際に節約できているかどうかはさておき、自らを倹約家だと自認している人は西日本に多いようだ。

浪費意識の高さ、東北勢が上位

一方で「自分は浪費家だと思う」と答えた比率を見てみよう。

1位は秋田県で46.0%、2位が岩手県・福島県・愛知県で45.0%。その後は5位が鹿児島県、6位が同率で大阪府と高知県、長崎県、9位が石川県と和歌山県となった。上位4県のうち、3県が東北勢であることが目につく。

もっとも、これはあくまで「意識調査」の結果であり、評価は難しい。なぜなら「また無駄遣いしてしまった」と反省する人は、裏を返せば「なるべく節約して生活しよう」という意識を持っているから自身が浪費家のように見えるともいえ、自身を「浪費家だ」と思っている人は実際のところ日々の節約意識が高いとも考えられるからだ。

そのような可能性も踏まえて、あらためて調査の結果を振り返ると、自らを倹約家だと考えている人は西日本に多く、自らを浪費家と考えている人は特に東北に多いといえる。

マネー知識に自信を持つ地域は……

それでは、倹約しているか浪費しているかという意識ではなく、自分はマネーに関する知識が豊富で、しっかり管理できていると自負する人は、どの地域に多いのだろうか。

「自分はマネー関連の知識が豊富だ」と答えた人の比率は1位が愛媛県で21.0%、2位は栃木県・東京都・福岡県で19.0%だった。以下、5位が埼玉県と三重県、7位が青森県・岩手県・秋田県・神奈川県・大阪府だった。

「自分は家計管理が得意だ」と答えた比率のランキングは1位が東京都で34.0%、2位が神奈川県で32.0%、3位が千葉県・愛媛県で31.0%だった。以下、5位が静岡県、6位が埼玉県・山梨県、8位が青森県・大阪府、10位が福岡県・宮崎県だった。

知識の豊富さと管理への自信を見せたのは、東京都や神奈川県など、首都圏を中心とした人口の多い地域が多かった。

「自分は浪費家」と答えた人が全国でトップクラスだった秋田県と岩手県は、マネー知識の豊かさを誇っている人も多い。その両県が接する青森県は知識の豊かさ、家計管理の項目で上位に入っている。

これらの結果からも、マネーの知識が多く、しっかり管理しているがゆえに「自分は節約が足りない=浪費しがち」と厳しく考えている東北勢の特性がわかる。

実際に浪費家なのは……

ソニー生命の調査からは、本当に貯蓄が上手な地域も見えてくる。自分が貯蓄上手だと思う人の比率に関する設問と、実際の貯蓄額に関する設問のランキング上位を重ね合わせると「貯蓄上手という自意識があるのに、貯蓄額がそれほどではない地域」「貯蓄上手な自意識はないけど貯蓄額の多い地域」がある程度わかる。

例えば、埼玉県は自身を貯蓄上手と誇る比率が全国トップの33.0%だが、貯蓄額のトップ10には入っていない。同様のことが三重県や島根県、徳島県、宮崎県にもいえる。

もちろん、これは調査結果から読み取れそうな「傾向」にすぎない。地域ごとに可処分所得は異なるため、必ずしも「貯蓄額が少ない=貯金が下手」というわけではないので、注意が必要だ。

一方、貯蓄額は多いのに貯蓄上手という認識が強くない地域は、奈良県・愛知県・和歌山県という結果だった。いずれの設問でも上位に入ったのは、東京都・岡山県・千葉県・滋賀県・岐阜県・福岡県・神奈川県だった。

肝心なのは自分がどう行動するか

コロナ禍によって先行きが見通しにくくなったことで、特に若い世代ではマネーへの関心が高まっている。今回は地域別のお金に関する意識の違いを紹介したが、肝心なのは自分がどう行動するかだ。調査結果を個人レベルまで落とし込み、自分自身の生活スタイルを振り返ることが大切といえるだろう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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