オレオレ詐欺の被害が後を絶たない。被害者のほとんどが65歳以上だ。「あれだけ注意が呼びかけられているのに、なぜ?」と思うかもしれないが、シニアならではの理由がある。だまされてしまう理由をあらためて知って、防止に役立ててほしい。

オレオレ詐欺の現状

オレオレ詐欺の手口の大半は、犯人が息子になりすまして電話をかけ、トラブル解決に必要だとしてお金を振り込ませることだ。20年ほど前から目立ち始めたが、一向になくなる気配はない。警察庁の発表によると、2021年に全国の警察が把握した被害件数は3,085件で、前年より800件以上増えた。被害額は90億円以上で、被害者のうち65歳以上が2,942人と95%以上を占めている。

シニア特有のだまされる要因は

なぜ、だまされてしまうのだろうか。警察庁が2018年にまとめた調査結果が参考になる。被害にあった人だけでなく、詐欺を見破った人たちにも状況などを聞き取り、分析したものだ。

認知能力の低下

警察庁の発表によると、被害者の95%が「自分は被害にあわないと思っていた」または「どちらかといえば自分は被害にあわないと思っていた」と回答した。なぜそう思っていたかについては、57%が「家族の声やうそを見分けられると思っていた」と答えている。

ところが犯人からの電話を信じた理由については、被害者の63%が「声がそっくりだった」と回答している。認知能力は50歳ごろから衰えるとされる。年を重ねて声を認識する能力が低下したことで、声を聞き分けることが難しくなっていることが影響していると考えられる。

核家族化の進行

また、被害者の75%が「誰にも相談しなかった」という。一方、詐欺だと気づいた人であっても、そのうち60%が誰かに相談していた。2022年の高齢者白書によると、65歳以上の人がいる世帯の29%が単身世帯で、32%が夫婦だけの世帯だった。核家族化はますます進み、どちらも右肩上がりで増えている。身近に相談できる家族がいなかったことも、被害にあう理由の一つといえるだろう。

家族を思う気持ち

犯人から連絡があった時の心境について、被害者の96%が「お金を払えば、息子(家族)を救えると思った」、76%が「息子(家族)の将来に傷がつくと思った」と答えている。子どもたちと同居していない高齢者が増えていることを考えると、離れて暮らす息子のことを思う気持ちが強いからこそ、被害にあってしまったといえそうだ。

「自分の親は大丈夫」と安心はできない

オレオレ詐欺という犯罪があることは知っていても、だまされてしまう理由がシニアにはある。注意を呼びかけていても驚いたり、焦ったりすれば途端に忘れてしまうものだ。「金を無心する連絡があれば、必ず本人に折り返す」といったルールを決めるなど、普段から対策について話し合っておこう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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