書類送検とは

 続いて「書類送検」について、20歳以上の被疑者の場合を例に挙げて説明します。

 書類送検とは、逮捕されていない被疑者の事件を検察官に送致することです。当該事件に関して被疑者の身体拘束がなく、捜査の結果をまとめた書類(事件記録)と証拠品のみを送致するため「書類送検」といいます。

 なお、別事件で逮捕・勾留されている被疑者(被告人)が書類送検される場合もあります。例えば、勾留中にほかの事件が発覚した場合や有罪判決を受けて入っていた刑務所内で傷害事件を起こした場合などです。

 ちなみに、書類送検という言葉は法律用語ではありません。検察庁や裁判所では、被疑者がその事件について身体拘束されたまま送致される事件を「身柄事件」、その事件について身体拘束されずに送致される事件(=書類送検の事件)を「在宅事件」と呼んでいます。

 書類送検される事件は、最初から逮捕されていない事件もあれば、逮捕されたものの送致前に釈放された事件もあります。

 いずれにしても、送致段階で当該事件について身柄が拘束されていなければ「書類送検」です。

■ 書類送検されたあとはどうなる?

 書類送検されたあとは、検察官や検察官の指示を受けた警察官・検察事務官が捜査を行い、検察官が起訴・不起訴を判断します。

 個別の事件により回数は異なりますが、起訴・不起訴の判断に際しては、検察庁に呼び出され、検察官による取調べを受けることになります。

 時間制限がある身柄事件と違い、在宅事件の場合は特段時間制限がないため、事件・事故発生から2~3か月経って検察庁に呼び出されることも珍しくありません。

 起訴された場合は、裁判へと手続きが移行します。ご存知のとおり、日本の刑事裁判の有罪率(※)は99%ですから、起訴されればほぼ間違いなく有罪判決を受けるでしょう。

ニュースでよく聞く用語「逮捕」や「書類送検」って実際どういう意味?逮捕される人とされない人の違いとは?
(画像=『おたくま経済新聞』より 引用)

 ちなみに、一般的に書類送検後、捜査の途中で身体拘束されることはあまりありませんが、逃亡や罪証隠滅のおそれがあると判断された場合は逮捕される可能性もあります。例えば、正当な理由なく呼び出しに応じない場合などです。

 また、非常にレアなケースですが、捜査は在宅で進んだものの、起訴後に勾留する必要があると判断されれば、起訴後に身体拘束されることもあります。(在宅求令状起訴)

※有罪率について:本稿では、裁判が確定した人のうち有罪になった人の割合のことを指しています。令和3年においては、99.956%でした。(参考:法務総合研究所「令和4年版 犯罪白書」)