ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏死亡後に、ジャニーズに退所者が相次いでいる。

これまでは、売れているタレントの退所者などほとんどいなかったジャニーズ事務所だが、2019年7月のジャニー喜多川氏死亡後から退所者が相次いでいる。昨年にはKing&Princeの平野紫耀ら3人のグループ脱退および退所が大きな話題となった。

実は、創業者の跡を継いだ経営者2世になって会社が傾いたり、潰れたりする事例はジャニーズだけではない。私自身、会社を経営しながら、親である創業者が偉大すぎるが故に子どもである経営者2世が会社を潰してしまうケースを多々みてきた。経営者2世の問題点を考察していきたい。

会社員を退職後にいきなり役員や経営者になるケースが要因?

一般的に「経営者2世」とイメージされる中小企業の後継ぎは、どこかに勤務しており「会社員でいるのが嫌になり実家に戻る」「親が病気で倒れたから急遽サラリーマンを辞めて会社を継ぐ」などで退職をしたあとに、下積み期間がなく突然会社に入って経営者や役員としての地位に就く事例が多い。

本人の実力以上の扱いを受けた結果、「従業員に対して傲慢になる」「親を越えたい一心で、間違ったノウハウで親が作ったビジネスモデルを壊してしまう」という弊害が生じるケースもある。

ジャニーズの相次ぐ退所騒動も、「カリスマ創業者から代が変わった」ことが原因の一つだろう。

親が計算した原価率で商品を仕入れる

2世経営者のビジネスモデルは先代から与えられたものがほとんどだ。

「親が開拓した取引先へ商品を販売する」「親が計算した原価率で商品を仕入れ、製造する」と、元々決められた成功パターンに沿っている。

その場合、競合他社が登場し取引先との取引内容の改定を迫られた場合などの適切な対処や、新商品販売の際も顧客が求める最適な商品を提供することことが難しくなるケースがある。事業にはベストな答えを教えてくれる教科書はなく、自分で考えて試行して失敗して気づくことが多々あるものだ。

つまり「なぜ取引先は自社の商品を選んでくれたのか」「どうしてこの原価率がベストなのか」ということを理解しないまま商売をしてしまうことが多い。

物事の根本がわからないので、先代が決めたこと以外はできず、変化に富んだ柔軟な経営や危機対応を適切に行うことが難しいのだ。

資金だけでなく信頼までも継承してからのスタート

会社を起業する際には、お金を貸してもらうために金融機関へ頭を下げ、取引をしてもらうために他社へ必死に消費やサービスの売り込みをしなければならず、そのような辛酸を舐める中で人からの信頼を獲得していくのが一般的だろう。資金繰りから従業員の雇用まで全て自分で判断した創業者は、社員や取引先は家族と同様と考えている創業者は少なくない。しかし経営者2世の場合、親の資金と借入金のみならず、その信頼まで継承された状態でのスタートとなる。その結果、会社に対する温度差が出てしまう「先代同様の付き合いをする必要はない」と社員のみならず取引先からも思われてしまうことがある。

「社員と経営者両方の視点」を獲得が重要

ジャニーズ事務所の退所騒動のように、カリスマ経営者死亡後の2世経営者は会社を潰してしまうことは確かに多い。

2世経営者がカリスマである創業者をすぐに超えることは難しい。経営者二世だから見える親である創業者の「先人の知恵」を学びながら、「社員と経営者両方の視点」を獲得できれば、親よりも信頼される経営者になれるかもしれない。

文・手塚大輔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員。地方銀行にて7年半勤務し個人営業と法人営業を経験。2014年に独立。保険や不動産、投資、税金などお金に関する幅広いジャンルの記事を執筆・監修している。

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