わが子に中学受験をさせる親は当然、その先にある大学受験でよりよい大学に進学することを狙っている。だが、果たして中学受験には、それにかかる高額の費用に見合うだけのメリットがあるのだろうか?

中学受験にかかる平均費用と慶應大学の学費はどちらが高い?

私立中学、あるいは国立大付属中学を受験する場合、どれくらいの費用がかかってくるのか?

まず、大きいのは塾代だ。文部科学省が2018年度に行った調査「子供の学習費調査の結果について」によると、塾代にあたる補助学習費(年間)は公立小学校で8万2,000円だ。

中学受験対策を小学4年生から始めるとして、補助学習費は3年間で104万4,000円となる。さらに参考書代、塾に通う際の交通費や食費、願書の写真代、面接用の衣類代、受験料、その他諸雑費などについては、受験勉強を行う3年間の間に100万円から150万円ほどかかってくるだろう。

つまり、中学受験にかかる平均費用は少なくとも200万円以上と推定できる。

さらに、中学に入学してからもお金はかかる。先の調査によると1年間にかかる学習費総額は公立中学で48万8,397円であるのに対し、私立中学では140万6,433円もかかるという。後者では中学3年間で420万円ほどもかかる計算だ。

慶應義塾大学の学費は?

参考までに慶應義塾大学の学費を紹介しておこう。学部によって異なるが経済学部の場合は、2022年度の学費で年間約115万円(初年度は約135万円)となっている。

このことを考えると、中学受験や私立中学の学費にかかる金額がいかに大きいか実感できるはずだ。

有名大学に合格できる中学、できない中学

中学受験塾「日能研」が公表している各中学の偏差値と、そこから同系列の高校を経て大学受験した際の大学別合格数を参考にして、有名大学に合格できる中学と合格できない中学の違いについて検討してみよう。なお、ここでは目安として主に首都圏の中学を取り上げる。

東京大学、京都大学、一橋大学などを狙うなら

東京大学、京都大学、一橋大学など偏差値70以上の大学に受かりたければ、同じく偏差値70以上の開成中学校、灘中学校に進学するとよい。開成高校や灘高からそれらの大学に進学する人数が非常に多いからだ。

慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、東京外国語大学などを狙うなら

慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、東京外国語大学など偏差値60代後半の大学を狙うなら、偏差値60代後半以上の中学を狙いたい。首都圏では海城中学校、慶應義塾中等部、麻生中学校、浅野中学校、市川中学校、栄光学園中学校、桜蔭中学校などがそれに該当する。

「中学受験をしても有名大学に合格できない」足切り偏差値とは

明治大学、青山学院大学、中央大学、横浜市立大学など偏差値50後半から60前半の大学 を狙うなら、偏差値50代後半以上の中学校を狙いたい。首都圏では、鎌倉学園中学校、国学院大学久我山中学校、大宮開成中学校、鴎友学園女子中学校、吉祥女子中学校、大妻中学校などがそれに該当する。

――以上を見て分かるように、将来入りたい大学を見据えた上で中学受験するなら、その大学の偏差値と同じくらいの偏差値の中学を選ぶのが基本となる。

もちろん、中学生であればまだまだ“のびしろ”があるので、低い偏差値の中学にしか入れなかったとしても頑張り次第では有名大学に合格する可能性はある。ただ基本的には、偏差値40前半以下の中学では、名前が広く知られる大学への入学は厳しいと考えたほうがいい。

わが子に中学受験は本当に必要か?

中学から高校、大学までエスカレーター式の進学が期待できる場合でも、油断して勉強を怠けてしまえば内部進学できないことがある。

その逆に中学受験をせず、高校受験の段階から本格的に将来の大学進学を見据えた取り組みを始めた場合であっても、本人の努力とセンス次第で有名大学に合格できることがある。そうしたことを考えると、中学受験だけが有名大学に進学する唯一の道ではないことは明らかだ。

むしろ、子ども本人のキャパシティを超えた受験勉強をさせてしまった場合、ストレスで精神的な問題を抱えたり、かえって勉強嫌いになったりすることもあり得る。

小学生時代は感受性を育てる重要な時期でもあるので、“とにかく中学受験ありき”ではなく、子どもの個性や能力を正しく判断した上で中学受験をさせるかどうか判断すべきだろう。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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