2022年カタールW杯はアルゼンチンの優勝で幕を閉じた。日本代表は惜しくもベスト8を逃したものの、日本でも大いに盛り上がりました。渋谷のスクランブル交差点は日本の勝利に酔いしれる人々でごった返し、警察官が出動する場面も。そんな中、イギリスでは警察署長が飲酒運転をして逮捕されるという事件が起きた。

警察官だから優遇されることはない

『Mirror』などの報道によれば、英・バーミンガムで警察署長が、W杯でのイングランドの試合前にを4杯飲んだ後、飲酒運転をして逮捕された。

警察官だから優遇されることはない

W杯で盛り上がっているとはいえ、本来、飲酒運転を取り締まるはずの警察官が飲酒運転をすることはあってはならないことです。このように、警察官が犯罪を起こした場合、日本ではどうなるのでしょうか。今回は警察官が犯罪を行った場合の処遇について、現役弁護士の幸谷氏が解説する。

まず前提として、警察官が犯罪を起こしたからといって、一般人より優遇されるということは一切ありません。むしろ警察官が犯罪を行うとニュースになりやすく、一般人よりも社会的制裁が大きくなるといえます。さらに、警察官には一般人にはない特別の犯罪類型が定められており、刑法上、一般人よりも重い責任が課されているのです。以下では、警察官に対する2つの犯罪類型をご紹介します。

特別公務員職権濫用罪(刑法194条)
警察官が、職権を濫用して逮捕監禁した場合には、特別公務員職権濫用罪となり、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処せられることになります。 一般人にも逮捕監禁罪はありますが、一般人の場合、3月以上7年以下の懲役ですので、警察官のほうが重く処罰されることになります。

特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条1項)
警察官が、被疑者等に対し暴行等を行った場合には、7年以下の懲役又は禁錮に処せられることになります。 一般人が暴行等を行った場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料ですので、こちらも警察官のほうが重く処罰されることになります。

警察官は罪が重くなる傾向

以上のとおり、警察官が犯罪を行った場合、一般人よりも罪が軽くなることはなく、むしろ罪が重くなる傾向にあります。警察官の方々は一般市民を守るために日々お仕事をされていますが、日本でも警察官の犯罪がニュースとなることがあります。今回取り上げたニュースはイギリスで起きた事件でしたが、昨今、飲酒運転の取り締まりが強化されている日本においては、絶対に起きてほしくないものですね。

文・幸谷泰造、MONEY TIMES編集部

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