地元農業を盛り上げたい 廃校に活気を取り戻したい

当初は、介護タクシー、魚の養殖など。さまざまなアイデアが出たと言います。しかし、本社所在地の福知山でやるならと考え、農業に着目しました。

「高齢化なども問題もあり、地元の農業の衰退は問題だと感じていたからです。地元の人が喜んでくれるような事業をしたいという思いもありました。農業に注目しましたが、最初はトマトを検討しました。専門家に相談したところ、地理的に福知山でトマト栽培が難しいということでした。そこで、最終的には、女性や子どもが喜ぶ、体験型の農業ができる、お客さんと交流できるということで、イチゴにたどりつきました」

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(画像=『cazual』より引用)

とはいえ、農業の経験もなく、そもそも農地すら持っていません。八方手を尽くして農地を探したものの、条件が良い土地が見つかりませんでした。

「そんなときに、福知山市内の学校が16も廃校になることを知りました。校庭は、広くて、日当たりが良いので、農地に向いているはずと考え、廃校の活用を市に相談しました。もともと学校は地域の拠点。そこが活気を取り戻すのは地域の人もうれしいですし、僕たちもうれしい。廃校の利活用はポジティブなエッセンスがたくさんあると思いました」

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(画像=校舎は平成初期に建てられたもの。まだまだ現役で使える状態だ。、『cazual』より引用)

とはいえ、当時の福知山市で廃校を利活用した前例はなく、借りるにはどうすればいいか、市と1年半くらい協議を続けました。ただ地域の方々はとてもウェルカムな雰囲気だったとか。

「田舎の地域に縁のない企業が入ってくると、よそものと嫌がられることもあると思いますが、中六人部の人たちは、あたたかく受け入れてくれたんです。廃校で農業をしたいと言ったら、“よっしゃ、俺たちはなにをやろう!”と前向きに協力を買って出てくれました」

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(画像=カフェの入り口は元昇降口だ。、『cazual』より引用)

いま校庭には7棟のハウスが並んでいます。3種類(紅ほっぺ、かおり野、章姫)のイチゴを低農薬で育てていて、イチゴ狩りができる観光農園として運営されています。

「中六人部地区には、人を呼びたくなるような施設がなかったので、イチゴ狩りやカフェなど遊びに来られる場所を作れたのも大きいと思います。帰省にきたお孫さんを連れてきてくださる方も多いんです」

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(画像=校舎内はおしゃれにリノベーションされている。隅々までTHE 610 BASEスタッフのセンスが光る空間。、『cazual』より引用)

「農業は奥が深いけど、特徴や作り方をすべて説明できるのが面白い」

「そもそも僕は新卒で親会社に入社しましたが、仕入れてきて売るよりも、自分の手でなにか作りたいという思いが強くなり、一度、退社しています。退社して豆腐職人をしていました。そんなとき、社長から連絡をもらい、新規事業をやるから戻ってこないかと声をかけてもらいました。それで、再入社して今にいたります」

やりがいがあるとはいえ未経験の農業。始めるにあたって、学校に通うなどして農業の基礎を学びました。

「自然学、科学……、さまざまなことを学んでいて、本当に農業は奥が深いです。ただ、イチゴは自分で作っているので、作り方や品種ごとの味の違いなど、すべて説明できます。卸ではなく、自分たちで作っているからこそ、本当にオススメできるのがうれしいです」

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(画像=イチゴは低農薬で育てている。ハウス内は、車椅子の方でもイチゴ狩りを楽しめるよう、詰め込みすぎず通路を広くしている。、『cazual』より引用)

親会社が電気設備の卸販売というだけあって、温度、湿度、二酸化炭素濃度、光量などをリアルタイムで測定、作物の出来と生育環境データを照合・比較するなど、データを活用したIoT農業に取り組んでいます。