日本企業のDX成功率は約5~10%──DX推進でのよくある失敗

日本企業におけるDX変革の必要性が主張されて約5年、どれくらいの企業がDX推進できているのでしょうか。経済産業省や民間企業が実施しているアンケート調査を見てみましょう。

2020年12月発表の経済産業省「DXレポート2(中間とりまとめ)」では3.1%、同じく2020年12月発表のアビームコンサルティング「日本企業のDX取り組み実態調査」では6.7%、2022年6月発表のpwCコンサルティング合同会社「日本企業のDX推進実態調査2022」では10%と、DXの成功率が約5~10%とわかります。

つまり、ほとんどの日本企業がDX変革の必要性を感じていながらも、DX推進に失敗しているのです。

よくある失敗の最たる例は、新たなツールを導入したのにもかかわらず、活用できる人材がいない状態です。その原因を考えると、DX推進プロジェクトをリードできる人がいないことにたどり着きます。

経営者が中期経営計画にDX推進を掲げているが、現場は何をして良いのかわからずに困惑している状態が多いです。このような企業はDX推進への予算が成立した際、とりあえずツール導入や資格取得へ取り掛かろうと考えます。

しかし、はたしてそれがDX推進で成し遂げたいことなのかということを改めて考える必要があります。

中小企業が社内でDX人材を育成するためのポイント

それでは、どのように社内でDX人材育成を進めれば良いのでしょうか。今回は特に中小企業が社内DX人材を育成するポイントを3つ紹介します。

ポイント①社長や役員を含めた全社員で取り組む

よくある失敗例の1つが、デジタル化を推進したい人が自主的に取り組むプロジェクトにしてしまうことです。

組織や人のトランスフォーメーションを目的とするならば、社長や役員を含めた全社員で取り組むべきでしょう。特に中小企業では社長の影響力が強いので、社長自ら動くことで社内でのDX人材育成が推進されます。

ポイント②仕事として業務時間内に取り組む

目的が社員のエンゲージメントや満足度などの向上であれば任意の学習補助制度にするのも良いと思います。しかし、組織や人のトランスフォーメーションを目的にするならばモチベーションに任せるやり方は避けるべきです。

業務の1つとしてITスキルアップに取り組む方が会社としての本気度が伝わりますし、実際に成功している企業が多いです。また、社員へ自分が業務のデジタル化についてどれほど理解しているか確認できる機会を与えられます。

ポイント③DX推進を教育担当だけに任せきりにしない

社内でDX人材を育成するにあたり、重要なポイントとして教育担当だけに任せないことです。DX推進に成功している中小企業は情報システム部や人事部、事業部などは補い合って制度設計から推進まで遂行しています。

「どんな教育内容を選ぶのか」「それによってどのように業務に活きるのか」といった要件定義を各部署の要望をすり合わせながら遂行することで、会社にとって有意義なDXを実現できます。