「GDPの2%」という防衛費騒動の陰で、それよりも巨額な3%の費用を伴う脱炭素の制度が、殆ど公開の場で議論されることなく、間もなく造られようとしている。これは日本を困窮化するかもしれない。1月末に始まる国会で守るべき国民の利益は何か。
やや長文だが、ぜひお付き合い頂きたい。

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岸田首相肝いりで政府が進めてきた「GX実行会議」が「GX実現に向けた基本方針(案)」をまとめ1月22日までの期間でパブリックコメントを募集している。
・GX実行に向けた基本方針(案)(以下、「基本方針(案)」) ・GX実行に向けた基本方針(案) 参考資料(以下、「参考資料」)
政府はこのパブコメを受けたのち、1月27日ごろに始まるとされる通常国会に、具体的な法案を提出する構えである。
なぜパブコメが重要かパブコメ募集では「これは、今後のGX実現に向けた政策課題やその解決に向けた対応の方向性等を整理するものです。」とのこと。GXというのはグリーントランスフォーメーションであり、脱炭素政策のことだ。「忌憚のない意見を」とのことなので、本稿を参考に、読者諸賢もぜひ提出されたい。
ところで、通常は、パブコメというのは全て物事が決まってから儀式の様に行われるもので、徒労の感がある。
だが今回はパブコメが重要だ。
なぜなら、今回のプロセスは、従前のエネルギー政策とはかなり異なっていたからだ。
「官邸主導」のGX実行会議で、岸田政権の首相や大臣から、2022年末の僅か3か月ぐらいの短期間に、矢継ぎ早に次々に提案があり、それがほぼそのまま「基本方針(案)」に盛り込まれてきた。
つまり短い期間に、官邸と一部の人々の間の議論だけで、かなり重大な内容が定まってきた訳だ。しかしこの間、審議会などの公開の場での議論は、殆どなされてこなかった。
だがその内容を見ると、通常国会に向けて、議論を喚起すべき点がいくつもある。
原子力の活用と安定・安価なエネルギーまず、これはだいぶ報道されたが、「原子力の最大限活用」が盛り込まれた。これは歓迎したい。該当箇所は下記:
「安定的で安価なエネルギー供給を実現するのが最優先課題」、というのも適切だ:
その言や良し。だが問題は、これをどうやって実現するか、である。