NHKが、受信契約の申込み期限や不正に受信料の支払いを免れた場合に徴収できる割増金について定めた受信規約の変更案を総務省に認可申請した。認められれば、2023年4月から「2倍」の割増金徴収が可能になる。NHKのこうした対応には各方面から批判の声があがる一方、NHK受信料を徴収されない「チューナーレステレビ」が注目されている。

NHK受信規約変更案に批判相次ぐ

NHKの受信規約の主な変更点は以下の通りだ。

前提として、放送法上、NHKの放送を受信できるテレビ(チューナー内蔵パソコンやワンセグ対応端末などを含む)を設置した人は、NHKと放送受信契約を結び、放送受信料を支払わなければならない。

現行の受信規約は、NHKの放送を受信できるテレビの設置日からいつまでに受信契約の申込みをするかについて、「遅滞なく」と具体的な期限は示していない。ところが、変更案は「受信機の設置の月の翌々月の末日まで」と申込み期限を具体化した。

さらに、割増金徴収の対象となる不正に関して、「解約」と「免除」を虚偽の内容で届け出ることと例示し、受信料の「2倍」に相当する額の割増金を請求できると規定した。

NHKのこの対応に、作家でNHKの経営委員を務めた経験がある百田尚樹氏は「毎年、受信料で貯金がどんどん増えていく。明らかにとりすぎ」「NHKの上はカネとることしか考えてない」と辛らつに批判。ネット上には、受信料を支払った人だけが番組を視聴できるようにするスクランブル化を求める声も寄せられている。

チューナーレステレビは設置簡単でNHK受信料の支払い不要

そうした中で、NHKの受信料を支払わなくてもよい「チューナーレステレビ」が関心を集めている。チューナーレステレビは文字通り、テレビチューナーを内蔵していないため、地上波、BS、CS放送などは視聴できない。

一方、インターネットに接続できることから、YouTubeやNetflix、Amazon Prime Videoといった動画配信サービスは視聴可能だ。

Wi-Fi環境さえ整っていれば、設置はコンセントに電源ケーブルをつなぐだけで済み、アマゾンで32V型が2万円台で購入できるなど、価格面でもお手頃だ。

テレビ離れ加速でチューナーレステレビ需要増の可能性も

NHK受信料の支払いを不正に免れている人への割増金を2倍に引き上げる措置は反発を招いており、テレビ離れが今後さらに進む可能性がある。そうなると、NHK受信料の支払いが要らないチューナーレステレビの需要は今後、さらに高まるかもしれない。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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