貯金や年収は、「1,000万円」をひとつの壁とみることが多い。一般的にはお金持ちといわれる金額だが、中には年収1,000万円でもお金に余裕がない人もいる。

実際は、いくらあればお金持ちの生活を送れるのだろうか。

なぜ「1,000万円」が境界線のひとつなのか?

まずは、貯金や年収で「1,000万円」が境界線のひとつになる理由について考えてみよう。

金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和3年)」によると、世帯の金融資産保有額の中央値は約700万円で、高額の資産を保有しているのは高齢者が大半だ。

会社員の平均給与は約460万円で、年収1,000万円を超える人は少ない。また、「1,000万円」という数字はキリがよく、目標にしやすいという面もある。

このような理由から、貯金や年収では「1,000万円」という金額がよく使われると考えられる。

貯金1,000万円の人はどれくらい?

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](2021年)」によれば、 年齢別の金融資産保有額は以下の通りだ。

真のお金持ちの条件とは

平均は一部世帯が金額を押し上げているため、中央値のほうがより正確に現状を表しているといえる。中央値は年齢が高くなるほど上がっており、1,000万円以上になるのは60歳代からだ。

20歳・30歳代で貯金1,000万円なら、お金持ちに分類されるかもしれない。しかし、60歳代以上では、「貯金1,000万円は少ない」という見方もできる。

この結果から、貯金1,000万円はお金持ちと呼ぶには金額が少ないといえるだろう。

年収1,000万円の人はお金持ち?

国税庁の「民間給与実態統計調査(2021年)」によると、会社員(給与所得者)の平均給与は約443万円だ。60歳未満は年齢が高くなるにしたがって高くなり、最高は55~59歳の687万円となっている。年収が1,000万円を超える人の割合は全体の3.5%だ。

この結果から、会社員にとって「年収1,000万円」は高収入といえる。

ただし、額面年収1,000万円の場合、税金・社会保険料控除後の手取り年収は約720万円、月収ベースで約60万円だ。この金額を高収入とみるかは個人差があるだろう。

お金持ちとは、お金をたくさん持っている人

注意しておきたいのは、お金持ちが高収入とは限らないことだ。お金持ちはお金をたくさん持っているからお金持ちなのであって、必ずしも収入額とはリンクしない。

年収が1,000万円より低くても、節約や投資に取り組んで十分な資産を築く人もいる。一方で、年収が1,000万円を超えているにもかかわらず、浪費してしまい、まったく貯金がない人もいるのだ。

「年収1,000万円」だからといって、収入をすべて使い切る生活を続ければ、決してお金持ちにはなれないだろう。

お金持ちになりたいなら、家計を適切に管理して、収入の一部を貯蓄や投資に回すことが大切だ。

文・大西勝士(ファイナンシャル・プランナー)
AFP、金融ライター。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで記事を執筆している。

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