目次
相続税は贈与税と一緒に考える
 ・課税逃れを防ぐ仕組みになっている
 ・贈与税の暦年課税における基礎控除額とは
金額と使い道によっては生前贈与で非課税に
 ・住宅取得等資金
 ・教育資金
 ・結婚・子育て資金

相続税は贈与税と一緒に考える

相続に向けた税金対策とは。制度を知らないと税負担が増える?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

「贈与税」とは、個人から財産を取得した際に取得した財産に課される税金です。遺産の場合は相続税が、生前贈与では贈与税が課されるため、いずれにせよ税金の申告は必要です。

課税逃れを防ぐ仕組みになっている

贈与税には相続税を補完する役割があります。贈与税がない場合、生前贈与によって相続税の課税逃れをする人が増えるでしょう。身内に財産を残すにあたり、相続税と贈与税の両方を考慮し、税負担が少ない方を選びたいものです。

相続税・贈与税に関連した制度に「相続時精算課税制度」があります。贈与時は2,500万円の特別控除が適用となるため、贈与税の負担が軽減されます。

ただし贈与者が亡くなった際は、「制度の適用を受けた贈与財産」と「その他の相続財産」を合計して相続税額を算出しなければなりません。

納税が先送りされただけではありますが、「相続を待たずにまとまったお金を受け取りたい」という場合にはメリットが大きいでしょう。

また、相続財産と合算する際は、相続時の時価ではなく「贈与時の時価」で計算をします。株式や不動産など将来、値上がりが見込まれる財産は、相続時精算課税の適用で早めに贈与を受けた方がメリットが大きいといわれています。

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

贈与税の暦年課税における基礎控除額とは

贈与税の課税方法には「相続時精算課税」と「暦年課税」があり、一定の要件に該当する場合のみ、相続時精算課税が選択できます。

暦年課税では、1月1日~12月31日に取得した財産の合計額から基礎控除額を差し引いた額に対して課税されます。基礎控除額は110万円で、年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。

110万円を超える場合は、残りの金額に税率を乗じて贈与税の課税額を算出します。国税庁のウェブサイトにある「贈与税の速算表」を活用しましょう。

贈与から3年以内に贈与者が他界した場合、生前贈与はなかったものとみなされ、相続税の課税対象となる点に注意が必要です(生前贈与加算)。すでに納税した贈与税は、相続税の計算に際して控除されます。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

定期贈与に注意

110万円の非課税枠を使って毎年少しずつ贈与をすれば、贈与税はかかりません。ただし贈与の方法によっては「定期贈与」とみなされ、課税対象になる可能性があります。

定期贈与とは、契約書を作成したうえで一定金額を一定期間にわたって贈与することです。「15年間、毎年100万円を贈与する」という場合、1,500万円の定期贈与となるため、1,500万円が贈与税の課税対象となります。

定期贈与ではないことを示すため、贈与者と受贈者との間で1年ごとに「贈与契約書」を結ぶのが望ましいでしょう。

なお、2022(令和4)年度の「税制改正大綱」では、相続税と贈与税を一体的に捉えて課税する観点から、暦年課税のあり方を見直す必要性が指摘されています。今後、贈与税の非課税措置が縮小または廃止される可能性もゼロではないようです。

参考:令和4年度税制改正大綱|自民党・公明党

金額と使い道によっては生前贈与で非課税に

相続に向けた税金対策とは。制度を知らないと税負担が増える?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

贈与税は、金額や使い道によっては非課税になるケースがあります。「住宅取得資金」「教育資金」「結婚・子育て資金」を目的とした贈与には非課税枠が設けられており、税の軽減を図れます。

住宅取得等資金

2022年1月1日~2023年12月31日において直系尊属(父母・祖父母など)から、住宅の新築や取得、増改築のための贈与を受けた場合、贈与税が一定額までは非課税となります。

非課税限度額は、省エネ等住宅が1,000万円、それ以外が500万円です。受贈者や対象となる住宅には要件があるため、贈与を受ける前に必ず確認しましょう。

相続税には「小規模宅地等の特例」とよばれる減税措置が設けられています。後述しますが、住宅取得等資金の非課税枠を使って持ち家を取得すれば、小規模宅地等の特例の条件を満たさなくなる可能性がある点にも留意しましょう。「将来、特例を利用する予定はない」という場合は問題ありません。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

教育資金

2013年4月1日~2023年3月31日において、30歳未満の人(以下、受贈者)が直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合、最大1,500万円までが非課税となります。

「教育資金」には、学校の授業料や学用品の購入費のほかに、学習塾や水泳などの習い事にかかる金銭も含まれます。

制度の利用にあたり金融機関で「教育資金贈与専用口座」を開設し、教育資金として使った領収書を金融機関に提出するのが原則です。受贈者が30歳に達した時点で口座に残額がある場合、残額は贈与税の課税対象となります。

参考:No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

結婚・子育て資金

2015年4月1日~2023年3月31日において、18歳以上50歳未満の人(以下、受贈者)が直系尊属から「結婚・子育て資金の一括贈与」を受けた場合、最大1,000万円までが非課税となります(結婚資金は300万円が上限)。

現金による授受は認められていないため、金融機関に「結婚・子育て資金贈与専用口座」を開設したうえで、結婚・子育て資金に充当したことを証明する領収書を金融機関に提出するのが原則です。

受贈者が50歳に達した時点で口座に残額がある場合、残額は贈与税の課税対象となります。

「結婚・子育て資金」の範囲は幅広く、以下のような金銭が含まれます。

  • 挙式費用
  • 新居費用・転居費用
  • 不妊治療・妊婦健診に要する費用
  • 分娩・産後ケアに要する費用
  • 子の医療費・保育料

参考:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁