日本ではどうしてインフレと円安が進んでいるの?生活に与える影響とは

― いま、インフレと同時に「円安が進んでいる」というニュースも聞かれます。まずは、円安が進んでいる背景について教えてください。

横田さん:世界の市場では、基本的には、金利が高い国の通貨が買われて、金利が低い国の通貨が売られる傾向にあります。ドル円で言えば、アメリカが利上げを行う中、日本は低金利を維持しているため、日米の金利差が拡大していることが円安の背景です。

そして、現在の日本では、インフレを招いている要因の一つが「円安」と言えます。

なぜ円安がインフレを招くのでしょうか?

横田さん:「米ドル建て」で値段が決まっているモノが多いので、円安になると「円建て」での値段が上がってしまいます。日本はエネルギーや食料品を輸入に頼っているため、円建て価格の上昇が国内のインフレにつながっています。

― 世界の金利との関係で起こる円安がインフレにつながっているのですね。なぜ日本は金利を上げないのでしょうか?

横田さん:金利を上げてしまうと、貯蓄に回す人がさらに増えてしまうからでしょう。日本銀行は当座預金にマイナス金利を適用する一方で、10年物国債金利を0.25%に抑えていますが、低金利を維持することでモノやサービスの消費を促し、経済を成長させる狙いがあります。企業で言えば、低金利でお金を借りてビジネスの成長に向けた投資を行うことが期待されています。

― ここまでインフレに関する知識を解説していただきました。ここからはより具体的に、インフレが私たちの生活にどのような影響があるか教えていただけますか?

横田さん:インフレによる影響は各家庭の支出によって異なるので、まずは家計の支出状況を把握することが大切です。インフレに強い家計と弱い家計について以下の表で見ていきましょう。インフレの影響を受けやすいものは赤で、受けにくいものは青で囲んでいます。

中でも「住居費」は支出の中で大きな割合を占める可能性があるので、インフレによる影響が大きいと言えるでしょう。

― 持家か賃貸かでインフレの影響も異なるのですね。

横田さん:住宅ローンの場合は借りたお金を返済するだけなので、基本的にインフレの影響は受けません。しかし、家賃に関してはインフレによって上昇する可能性が高くなります。

実際に、住んでいるところの家賃が大きく上がる予定なので持家の購入について考えているという相談もありました。ライフプランに大きく関わってくることなので、インフレがプラン見直しのきっかけになるかもしれませんね。